
12月5日に既に発表されているように、連結売上高694億1100万円(前期比1.1%増)、経常利益20億2800万円(同54.1%減)、純利益6億4400万円(同78.8%減)と増収ながら、大幅な減益であった。
増収の要因は、07年に子会社化した九州建産を連結に加えたことで売上高40億円が加わったことによる。それでも利益面で大幅な減益となったのは、単体で21億円の減収だったことと、07年10月期にあった有価証券売却益3億円、土地売却益9億円、退職給付引当金の取崩益8億円が消えた反動があった。
同社は、北海道札幌市に本社を置く建機レンタル業界最大手で、全国に営業拠点を持つ。当期は国内で4拠点を新設、1拠点を閉鎖した結果、10月末までの国内拠点は、北海道85、東北56、関東37、中部16、近畿13、中国1、四国1、九州33、沖縄15の合計257拠点の営業網となった。今期も既に千葉と大阪にそれぞれ大規模店新設が決定しており、引き続き年間2〜3拠点新設する計画だ。
同社の業績を左右する国内の建機レンタル市場は、1兆2000億円の市場規模があるが、公共事業予算削減が続行されてきた結果、大都市圏でも建設業者の消耗は著しい状態。
加えて改正建築基準法施行による着工遅延と、世界的金融不安から市況が悪化し、回復の目処は立っていない。環境の悪化から建設業者は建機を購入からレンタルに大きくシフトさせており、市場全体が縮小するなかで、同社を含む広域大手4社をはじめ上位企業の売上は拡大、受注の収斂が明確になってきている。
同社の事業別売上高を見ると、建設関連事業90.5%(レンタル66.1%、中古建機販売24.4%)、鉄鋼・情報9.5%。前期比では建設関連事業0.4%減、中古建機販売3.6%増、鉄鋼事業19.1%増、情報機器17.8%増と主力の建設関連事業以外は増収。
地区別レンタル売上の増減は、北海道地区8.3%減、東北地区9.6%減、関東信越地区4.2%増、近畿中部地区2.9%減、九州沖縄地区141.9%増。北海道、東北の落ち込みが目立つ。関東は羽田空港拡張工事が貢献して増益。九州の大幅増は九州建産の売上が加わったため。
同社が戦略的事業に位置付ける海外事業は、上海の合弁会社「上海金和源」が、40億円超の資産を保有、運用しており、今年度にも黒字化の予定。一方、グアムの現地法人「SJレンタル」についても、早々と高い知名度を得て資産の稼働率も伸張してきており、順調にスタートを切っている。
とは言え、同社の収益の基盤は国内であることから、今後も引き続き大都市圏での出店ペースを速めるほか、積極的なM&Aによって全国に商圏とシェアを拡大する方針。
次期09年10月期連結業績予想は、売上高682億円(前期比1.7%減)、経常利益22億円(同8.5%増)、純利益10億円(同55.3%増)を見込む。なお、09年10月期から、08年10月期待つに連結した東洋工業の売上高約11億円が上乗せされる。
なお、経営環境が大きく急変しているため、新長期5カ年計画はこの1年間で再考し、2010年から2014年の5年とする。配当は今期も20円の予定。
>>カナモトのIR企業情報