2011年05月23日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

ミロク情報サービスの前11年3月期は減収ながら大幅増益


■利益率の高いサービス収入の増加した一方で、売上原価が762百万円減少

ミロク情報サービスのホームページ ミロク情報サービス<9928>(東2)は、5月20日に東京証券会館で前11年3月期決算説明会を開催した。
 前11年3月期連結業績は、売上高18,750百万円(10年3月期比0.5%減)、営業利益1,506百万円(同28.9%増)、経常利益1,488百万円(同31.1%増)、純利益705百万円(同26.3%増)と減収ながら大幅増益を達成した。
 売上高の減収は、子会社のシステム受託開発売上が286百万円減少したことが主な要因。
 大幅増益の要因は、利益率の高いサービス収入の増加した一方で、個別システム開発・受託開発原価の圧縮、製品償却負担の軽減、新製品開発費の資産計上の増加によるソフト製品原価の圧縮により、売上原価が10年3月期比で762百万円減少したことが挙げられる。
 セグメント別売上高は、ハードウェア2,038百万円(同3.7%減)、ソフトウェア7,664百万円(同3.7%減)、ユースウェア2,412百万円(同2.6%増)となり、契約系全体の売上高は12,115百万円(同2.5%減)であった。
 一方の安定系であるサービス収入は5,893百万円(同6.3%増)、サプライ618百万円(同9.8%減)となり、安定系全体の売上高は6,511百万円(同4.6%増)と順調に伸びた。

■一般企業向けは新規顧客売上が28.2%増、リプレイス販売も大きく伸長

 サービス収入の内訳は、TVS(トータルバリューサービス)1,859百万円(同6.0%増)、ソフト更新料5百万円(同45.6%減)、ソフト使用料354百万円(同15.8%増)、ソフト運用支援サービス2,552百万円(同9.0%増)、ハード・ネットワーク保守1,120百万円(同0.6%減)となった。
 TVSの増収要因は、会計事務所の新規開拓が順調に進んだことによる。今後も顧客からの電話問い合わせ対応を行うコールセンターの継続的なサービス品質の向上や、税経システム研究所の各種レポート等の情報コンテンツの拡充を図ることで、売上を伸ばす。
 ソフト使用料は、会計事務所の顧問先企業に、月額利用料でリースしている。ソフトには「ACELINK Navi記帳くん」、「iCompassシリーズ」があり、新規顧客の開拓が順調であったことから、増収となった。「現在1万4400社が利用しています。ここをクラウド化し、利用者を伸ばしていきます」(同社代表取締役社長 是枝周樹氏)と成長戦略を語った。
 ソフト運用支援サービスも企業の新規顧客開拓、リプレイス時の契約促進により契約企業が増加したため増収となった。
 販売先別売上高は、会計事務所向け3,604百万円(同19.0%減)、一般企業向け6,656百万円(同13.7%増)、パートナー向け909百万円(同6.0%増)であった。
 会計事務所向けの売上が減少した要因は、新規顧客への売上が6.5%増となったものの、新規ソフトの発売が無かったことから大幅な減収となった。今期は、新製品「ACELINK NX−Pro」を投入し、巻き返しを図る。
 一般企業向けは、新規顧客への売上が28.2%増となり、またリプレイス販売も大きく伸長したため増収となった。
 パートナー企業向けは、企業への営業・販促支援や新規パートナー開拓により増収を確保した。
 資産合計は、14,993百万円(同0.3%減)、純資産合計は7,899百万円(同1.8%増)となり、自己資本比率は52.7%と1.1ポイント改善。

■売上総利益率は10年3月期比3.8ポイント上

 前期の取組としては、顧客基盤の拡大、サービス品質の向上と高収益体質への改革、経営基盤の強化の3つを掲げた。
 顧客拡大策としては、会計事務所との関係強化による顧問先企業へのアプローチを推進すると共に、コンサルティング営業によるソリューションビジネスを強化した。一方で、製販一体型組織を活かした主力ERP製品の機能改良、機能拡張に注力した。
 サービス品質の向上と高収益体質への改革を推進するために、サービス、コンテンツの向上を行い、値引き抑制と外注費の削減を図った。一方で、保守サービスにつながるセキュリティ商品等のクロスセルを強化した。また、新しく開設した道東・群馬サービスセンターにおいては、顧客満足度の向上を図った。更に、不採算事業から撤退し、グループ会社の統廃合を推進した。
 経営基盤の強化策としては、人材の育成・強化、経営情報インフラを強化し、業務改善等による総コスト削減を行った。
 その結果、売上総利益率は10年3月期比3.8ポイント上昇、新規企業向け売上は同28.2%増、企業向けソフトウェア運用支援サービス収入は同9.0%増、ハード・ネットワーク保守サービス利益率は同4.3ポイント上昇等となり、前期の取組はほぼ確実に実行され、成果を出したといえる。

■今期を初年度とする第2次中期経営計画を発表

 今後の方針については、日本の経済環境を詳しく分析したうえで、今期を初年度とする第2次中期経営計画を発表した。
 基本方針は、商品ラインナップの強化とサービス品質の向上、開発体制の抜本改革による画期的な新商品の市場投入、新規顧客拡大に向けた販売体制の改革と人材力の強化、新規事業創出のための基盤作り、生産性向上による収益力の強化とCSR活動の充実の5項目を掲げている。
 業績目標としては、初年度の12年3月期は、売上高19,300百万円、経常利益1,600百万円として、最終年度の14年3月期には、売上高20,500百万円、経常利益2150百万円の達成を掲げている。
 第1次中期経営計画(2008年〜2010年)のビジョンは、「安定的な収益基盤の確立」、第2次中期経営計画(2011年〜2013年)のビジョンは「環境変化に対応するための技術基盤、経営基盤の確立」としている。

■今期よりスタートする自営保守により、更に利益率の改善が予想される

 第2次中期経営計画を達成するための施策を市場別に掲げている。
 会計事務所マーケットに対しては、新製品「ACELINK NX−Pro」投入による新規・リプレイス販売の強化、新製品「ACELINK NX−Pro」のクラウド対応に向けての企画開発、ユーザー会であるミロク会計人会との連携強化を挙げている。
 中堅・中小企業マーケット向けには、新規顧客拡大に向けた人材力の強化、主力ERP製品「Galileopt」、「MJSLINK II」の継続的な機能改良、機能拡充、既存商品の統廃合および商品・サービスラインナップの充実を実施するとしている。
 両マーケット共通の事業方針は、サービス品質の高度化と自営保守の推進によるワンストップサービスの実現、既存顧客への幅広い商品群の提供、エンタープライズ・アーキテクチャの定着による開発体制の強化、新規事業創出のための基盤作り、生産性向上による収益力の強化とCSR活動の充実を挙げている。
 特に今期よりスタートする自営保守については、前期より教育を開始し、今期の事業推進に万全の体制で臨んでいる。自営保守により、更に利益率の改善が進むものと思われる。
 今12年3月期連結業績予想は、売上高19,300百万円(前期比2.9%増)、営業利益1,650百万円(同9.5%増)、経常利益1,600百万円(同7.5%増)、純利益832百万円(同17.9%増)と増収増益を見込んでいる。

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