2010年06月29日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

ベルーナは主力のカタログ事業が増収増益に向かい、再度の成長路線へ


■昨年8月から低価格帯衣料品の種類を増やしたことで、売上が回復

ベルーナのホームページ カタログ販売のベルーナ<9997>(東1)の前10年3月期連結業績は、売上高1001億100万円(09年3月期比8.9%減)、営業利益43億3200万円(同254.6%増)、経常利益42億6700万円(09年3月期△22億3900万円)、純利益12億7600万円(同△87億6300万円)と減収ながら、大幅増益で黒字転換となった。
 大幅増益となった要因は、売上原価率が43.2%と2.3ポイント改善したことに加え、販管費が62億5000万円減少し、525億円(同10.7%減)となったことにより、営業利益が大幅増益となった。また、09年3月期にあった30億9900万円の為替差損が無くなったことで、経常利益は大幅増益で、最終利益も黒字化した。
 主なセグメント別の営業利益を見ると、カタログ事業8億2000万円(同180.3%増)、単品通販事業16億8000万円(同38.8%減)、AF(アドバンスド ファイナンス)事業5億円(同295.7%増)、BOT(他社のダイレクトメールを同社の発送する商品またはカタログ等に同梱する事業)10億3000万円(同12.3%増)であった。これまでの主力であったカタログ事業の利益がやっと回復してきたことが前期の大きな成果といえる。
 カタログ事業の業績が回復してきた要因は、昨年8月以降低価格帯の衣料品の種類を増やしたことで、売上が回復したことが挙げられる。

■カタログ事業の新規顧客獲得数71万3000人で15.4%の増加

 09年8月以降の衣料品の売上高(対前年同月比)の推移は、8月6.3%増、9月0.6%増、10月1.1%増、11月3.0%増、12月7.2%減、1月12.7%増、2月18.2%増、3月7.8%増となっている。ところが前期の4月から7月までの衣料品の売上高(対前年同月比)の推移は、4月0.5%減、5月9.8%減、6月1.7%減、7月24.3%減であった。低価格帯の衣料品を投入した8月以降の売上回復は一目瞭然である。今期に入ってもその流れは継続していて、4月8.3%増、5月15.6%増と順調に推移している。
 カタログ事業の売上高は、645億2000万円(同3.0%減)と減収であったが、コストを抑制したことで、大幅増益を達成した。会員数は、アクティブ会員数396万1000人(同1.3%増)、登録会員数1234万2000人(同6.1%増)、新規顧客獲得数71万3000人(同15.4%増)、受注単価9717円(同18.4%減)。
 カタログ事業の中のEC(イーコマース)の売上比率は11.56%(同2.67%増)で売上高は年々伸びてきている。具体的には、08年49億5000万円、09年57億4000万円、10年72億5000万円となっている。その要因は、若年層向けの事業であるリュリュ・リアール事業が成長していることによる。また、受注してから商品が届くまでのリードタイムを10日から4日に大幅に短縮する等サービスの向上も挙げられる。

■ワインの売上高は3年連続で30億円台キープ、通販分野では日本でトップ

 単品事業は売上高、営業利益共に09年3月期を下回っている。その一つの要因は、海外子会社ベルネットの事業撤退による。
 単品事業のセグメント別に分けると、グルメ(食品・花・ワイン)、オージオ(化粧品)、リフレ(機能食品・健康食品)となる。
 各セグメントの売上高、営業利益は、グルメ118億1000万円(09年3月124億円)、2億2000万円(同2億6000万円)、オージオ47億3000万円(同56億2000万円)、6億3000万円(同5億5000万円)、リフレ49億5000万円(同42億7000万円)、10億9000万円(同14億円)となっている。
 グルメの売上に占めるワインの売上高は、3年連続で30億円台をキープしていて、通販分野においては日本でトップ。今期は34億円を計画している。オージオは減収だが増益となっている。リフレは広告・宣伝費を増加したことから増収となったが、利益面では大幅減益に終わった。収益性の向上が課題として残った。

■AF事業は、利息返還発生額が減少で利息返還損失引当金繰入額が減少

 AF事業は、大幅営業増益となったが、売上高は57億7000万円(同83億9000万円)と大幅な減収となっている。
 AF事業をセグメント別に分けると、ノーティス(消費者金融)、サンステージ(法人向け不動産融資)、ベルネット・クレジット(韓国)となる。
 各事業の売上高、営業利益は、ノーティス36億1000万円(同46億4000万円)、5億4000万円(同4億7000万円)、サンステージ7億8000万円(同17億7000万円)、△5億5000万円(同△8億4000万円)、ベルネット・クレジット(12月決算)09年14億円(08年21億1000万円)、6億4000万円(同4億9000万円)。
 ノーティスでは利息返還発生額が減少してきたことから利息返還損失引当金繰入額が減少している。サンステージとベルネット・クレジットでは、残高の減少により貸倒引当金繰入額が減少。
 BOT事業は売上高、営業利益共に増加している。売上高22億3000万円(同18億1000万円)、営業利益10億3000万円(同9億2000万円)。収益性の高い封入・同梱サービスの構成比が低下したことで、売上高は伸長するが、営業利益率は低下。通販参入企業の増加により、通販代行サービスの構成比アップの傾向は続くと見ている。

■自己資本比率は5.1ポイント改善、現金及び現金同等物期末残高は40億8000万円増加

 貸借対照表を見ると流動負債は短期借入金が大幅に減少したことで420億7900万円(09年3月期537億6900万円)、固定負債は234億円(同262億8900万円)、純資産は542億1700万円(同538億800万円)となり、自己資本比率は45.3%と5.1ポイント改善した。
 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー212億2200万円、投資キャッシュ・フロー△22億9400万円、財務キャッシュ・フロー△147億8800万円となり、現金及び現金同等物期末残高は211億6600万円と09年3月期末より40億8000万円増加している。

■今11年3月期連結業績予想は、増収大幅増益を見込む

 今11年3月期連結業績予想は、売上高1065億円(前期比6.4%増)、営業利益58億円(同33.9%増)、経常利益57億円(同33.6%増)、純利益28億円(同119.3%増)と増収大幅増益を見込んでいる。
 主なセグメント別売上高、営業利益は、カタログ事業705億円(前期645億2000万円)、15億円(同8億2000万円)、単品通販事業216億8000万円(同217億1000万円)、20億2000万円(同16億8000万円)、AF事業33億7000万円(同57億7000万円)、1億3000万円(同5億円)、BOT事業28億6000万円(同22億3000万円)、12億円(同10億3000万円)。
 AF事業については、ノーティスが適用を受けている貸金業法は改正となり、6月18日に完全施行となったが、総量規制の導入、事前書面交付義務の導入の影響については、不確定要素も多いことから今期の予算は保守的に見ている。
 事業の主力であるカタログ事業が、低価格商品の商材を増やすと共に、ECのサービス向上により、増収増益が見えてきていることから、再度の成長路線が始まるものと期待される。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2010.06 |特集