2011年06月14日
ベルーナの前11年3月期連結業績は増収大幅増益
■主力である総合通販事業は増収大幅増益
総合通販事業のベルーナ<9997>(東1)の前11年3月期連結業績は、売上高103,460百万円(10年3月期比3.4%増)、営業利益6,733百万円(同55.4%増)、経常利益6,364百万円(同49.1%増)、純利益4,389百万円(同3.43倍)と増収大幅増益を達成した。
増収大幅増益の最大の要因は、主力である総合通販事業の売上減少に歯止めがかかり、増収大幅増益となったことが挙げられる。
セグメント毎の概況を見ると、総合通販事業は売上高690.5億円(同7.0%増)、営業利益20.3億円(同2.46倍)と増収大幅増益を達成した。売上高に影響を与えるアクティブ会員数は426万人(同7.6%増)、新規顧客獲得数は87.5万人(同22.7%増)と増えている一方で、受注単価は8,804円(同9.4%減)と減少している。売上拡大の要因の一つにEC売上高の伸長が挙げられる。EC売上の推移を見ると、09年3月期57.4億円、10年3月期72.5億円、11年3月期98.9億円と順調に伸びている。今期は135.0億円を計画している。EC比率は14.85%と3.29ポイントアップ。特に若年層の比率は47.07%と高く、4.54ポイントアップしている。
■専門通販事業は減収増益、ソリューション事業大幅増収増益
専門通販事業の売上高は、202.9億円(同6.5%減)、営業利益21.9億円(同21.0%増)と減収増益であった。下期に当初計画ほどの媒体費を投下しなかった。今期も媒体効率を見ながら一定の営業利益を確保し、成長性を志向するとしている。今期の売上高は222億円を見込んでいる。
ソリューション事業の売上高は35.6億円(同60.1%増)、営業利益15.7億円(同52.1%増)と大幅増収増益。ソリューション事業では、封入・同梱サービスと通販代行サービスで展開する受託事業を行っている。その為、総合通販事業のアクティブ会員数、出荷個数の増加に伴い業績は拡大するといえる。過去3年の売上推移を見ると、09年3月期18.1億円、10年3月期22.3億円、11年3月期35.6億円と順調に拡大している。今期は42.0億円を見込んでいる。
ファイナンス事業の売上高は31.3億円(同45.7%減)、営業利益1.3億円(同73.0%減)と大幅減収減益であった。営業貸付金の圧縮を図ったことに加え、貸金業法の改正が全面的に施工されたことで個人向けの貸付を行うノーティスで貸付金利の低下が生じた結果、減収となった。利益面では、営業貸付金及び利息返還請求の減少により関連引当金の繰入額は減少しているものの、セグメント全体としては減益となった。今後も引き続き、債権の良質化を図りながら残高は減少させ、一定の利益は確保する見通し。
■プロパティ事業は黒字転換、その他の事業は大幅増収増益
プロパティ事業の売上高は21.7億円(同60.6%増)、営業利益1.7億円(黒字転換)と増収増益となった。事業内容は、不動産賃貸・開発事業等、賃貸では安定した収益を確保している。開発事業では当初予想とは別の販売用不動産の売却が実現し、また評価損も減少したことから、増収増益となった。過去3年のプロパティ事業の営業利益推移を見ると、09年3月期△28.4億円、10年3月期△2.2億円、11年3月期1.7億円と利益面での改善が進んでいる。今期は売上高15.0億円、営業利益1.0億円を見込んでいる。
その他の事業の売上高は55.9億円(同16.0%増)、営業利益4.6億円(同2.39倍)と大幅増収増益であった。その他の事業の内容は、子会社フレンドリーの卸事業、子会社BANKAN、わものやの店舗販売事業である。3月末現在の総店舗数は38店舗。過去3年のセグメント全体の売上高の推移は、09年3月期54.7億円、10年3月期48.2億円、11年3月期55.9億円。今期は61.4億円、営業利益6.8億円を見込んでいる。
■今期も前期に引き続き、総合通販事業の売上が伸びる
主力の総合通販事業が回復したことで、前期は順調であったといえる。ところが、5月18日に4月の月次速報が発表された。なんと総合通販事業の売上高が前年同月比でマイナス19.0%であった。この最大の要因は大震災により同社のカタログ用の紙を生産している製紙工場が被災したことで、紙の調達に遅れが生じ、カタログが計画通りに発行することができなかったことによる。
同社のIR担当者によると、5月にはマイナス幅が縮小し、6月には上振れると見ていて、第1四半期では前年並みの売上確保ができると予想している。
今期も前期に引き続き、総合通販事業の売上が伸びると見ていることから、12年3月期連結業績予想は、売上高109,000百万円(前期比5.4%増)、営業利益6,800百万円(同1.0%増)、経常利益6,700百万円(同5.3%増)、純利益4,200百万円(同4.3%減)を見込んでいる。
4月に震災の影響が出たものの、足元では主力の総合通販事業の売上が回復してきていることから、夏シーズンは前期並みの着地見込みではあるが、秋冬シーズン以降は再び成長路線に戻るものと予想される。