2013年12月4日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

日本マニュファクチャリングサービス:第2四半期売上高は為替の影響で増収確保


■中国での生産調整の影響を受け、志摩HK、TKRHKは営業赤字となる

 製造派遣、請負の日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)の今期14年3月期第2四半期決算説明会が29日に行われた。

 売上高208億23百万円(前年同期比7.1%増)、営業利益△3億45百万円(前年同期4億71百万円)、経常利益△68百万円(同4億61百万円)、純利益△1億97百万円(同2億円)と増収ではあったが、利益面では大幅な減益となった。

 売上高に関しては、中国が想定以上に悪化したことと国内のEMS事業が不振であったが、円安による為替の影響で22億63百万円が積み上がったことで増収となった。

 利益面については、中国での生産調整の影響を受け、志摩HK、TKRHKを合わせ2億53百万円の営業赤字、国内ではTKR日本が前期において大口のカーオーディオの生産終了後、新規案件が獲得できていないため、販管費が利益を圧迫し67百万円の営業赤字。その結果、全体で営業赤字となったが、為替差益が2億50百万円あったことから経常・最終利益の赤字額は縮小した。

 同社は、IS(インラインソリューション)事業、CS(カスタマーサービス)事業、GE(グローバルエンジニアリング)事業、EMS(エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス)事業の4事業を展開している。

■国内IS事業は第2四半期(7月から9月)は黒字転換

 事業別の売上高、セグメント利益は、国内IS事業は売上高47億円(前年同期比4.8%減)、セグメント利益△21百万円(前年同期3百万円)と減収減益。第1四半期はかなり苦戦をしていたが、第2四半期からはかなり持ち直している。中国からの代替生産の動きで国内に生産が戻ってきていることから受注残が膨らみ、採用の話も来ているが、マーケットから人の採用が難しく、機会損失のため十分な売上を確保できなかった。しかし販管費の圧縮などにより、第2四半期(7月から9月)は黒字となっているため、ボトムは過ぎたと見ている。

 海外IS事業は売上高1億19百万円、セグメント利益△33百万円であった。期初に提携した中国の公的機関、日本でいうとハローワークのような機能を持つ、半官半民への資本参加の効果もこの上半期では十分に表れていない状況。しかし、10月末時点では従業員が1000名超と拡大しているため、今期の後半、来期に業績に貢献すると見ている。

 CS事業は、新規の顧客獲得が進んでおらず、計画未達の状況。売上高は、7億78百万円(前年同期比38.2%減)、セグメント利益△8百万円(前年同期56百万円)と大幅減収で赤字転落となった。

 GE事業は、売上高2億62百万円(前年同期比16.6%減)、セグメント利益△12百万円(前年同期4百万円)と減収減益。当初はEMS事業を運営する子会社TKRとの事業シナジーを含め、受託型設計業務を念頭に置いていたが、当初の計画通り進まず計画を下回っている。

 EMS事業は、売上高149億63百万円(前年同期比15.7%増)、セグメント利益△2億72百万円(前年同期4億8百万円)と増収ながら赤字となっている。業績が悪化している中国については、現在2拠点あるが今後どのように融合させていくかが課題である。国内のTKRも業績改善が必要。しかし、マレーシアはグループの業績を大きく改善する動きとなっている。

■グループ連携を更に強化し業績回復への戦略を断行するため、TKRの株式の追加取得を実施

 以上のように、第2四半期業績が悪化したことから、11月14日に通期業績予想の下方修正を発表した。また、同日、グループ連携を更に強化し業績回復への戦略を断行するため、TKRの株式の追加取得を実施し、株式保有比率を87.01%まで高めることと、この追加取得により、負ののれんが10億円程度発生し、特別利益として計上することも発表した。

 その結果、今期14年3月期連結業績予想は、売上高415億円(前期比6.8%増)、営業利益△5億円(前期3億88百万円)、経常利益△2億50百万円(前期5億65百万円)、純利益5億50百万円(前期比133.1%増)を見込む。

■収益性に問題がある拠点の統廃合、国内事業の拡大策の展開とビジネスモデルの再構築、中国ビジネスモデルの見直しを計画

 下期以降の取組について、代表取締役社長小野文明氏が説明を行った。

 現在の事業環境は、アセアンについては、相当な数の中小企業が進出している。しかし、一気通貫のインフラ設備が整っていないのが現状。そのため、チャイナリスクに加え、円安であるため、日系企業では日本の休眠ラインを復活していることから、日本での生産が戻ってきている。しかし、日本での生産は一時的なもので、アセアンでの生産インフラが急速に進んでいることから、いずれはアセアンでの生産が始まるものと見ている。日本においては、生産が戻ってきているものの、東北の復興に人手がとられていることから、採用が困難である。もう一つは建設業で高い金額での採用が始まっているため、製造業に回ってくる人材が非常に少なくなっている。

 そのような状況の中で、事業の構造改革に取り組む。主な検討課題は、構造的な課題により収益性に問題がある拠点の統廃合、国内事業の拡大策の展開およびビジネスモデルの再構築、中国におけるビジネスモデルの見直しの3点である。

 中国にある志摩の深せん工場、TKRの東莞工場の2工場は統廃合を検討していく。もちろん統廃合だけでなく、新たなM&Aを追加したり、ローカル事業との業務提携を模索したり、また中国で行っている仕事をベトナムにもっていくということも考えている。早急に実施し、コスト構造を変えていく計画。

■3工場を水沢工場に集約することで、事業展開の効率化を検討

 国内については、日立メディアエレクトロニクスから譲渡された水沢工場を活用し、東北地区の拠点の再配置を検討する。水沢工場を中心に半径30キロ圏内に岩手テックがあり、また30キロ圏内を少し離れて東北TKR、岩手TKRの工場がある。この3工場を水沢工場に集約することで、事業展開の効率化を検討する。水沢工場の建物面積は24,700平方メートル、一時従業員数は1,500名から2,000名働いていたこともあり、キャパシティとしては十分である。

 今回、日立メディアエレクトロニクスから事業譲渡されたことで、電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業をTKRが継承した。ところが、電源事業については、同社が思っていた以上に高い技術を持っていることが分かった。特に高圧電源技術については高い技術を持っている。しかし、シェアは低いことから、この技術をメインにして、メーカーの事業再編パートナーとして案件を獲得し、シェアを拡大する計画。

 国内事業の拡大策の展開およびビジネスモデルの再構築については、現在採用が困難な状況であることを踏まえ、採用戦略を見直し、もっと厚い福利厚生を行い、人が辞めないような制度をとっている。そのため、社員待遇を改善している。

■中国での受注は十分にあることから、中基衆合の事業を拡大

 中国におけるビジネスモデルの見直しに関しては、想定以上のスピードで生産調整が進んだため、ビジネスモデルの見直しが必要である。まず、EMS工場と人材サービスを融合したサービス展開の早期構築を図る。一方で、中国での受注は十分にあることから、中基衆合の事業を拡大する。更に、中基衆合が子会社化した政府系人材サービス会社が持っている休眠中の人材採用の「太湖ネット」を作り直し、江蘇省、浙江省、上海の3つの経済圏から人材を募集する計画。このシステムを次年度になるべく早く構築することで、直接雇用を実施する予定。

 今期は、中国での日系製造企業の生産調整が想定以上のスピードで進んだことに加え、日本国内における生産拠点の縮小、撤退が進む一方で、アセアンを中心とした地域への海外拠点の推進が一層加速する等、事業環境の急変により業績が悪化したが、既に、事業構造改革に取り組んでおり、その具体的な内容は来年2月末までに新中期経営計画として発表する予定。

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