2014年6月6日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

日本マニュファクチャリングサービス:5月26日に14年3月期決算説明会を開催


■代表取締役社長小野文明氏が事業戦略について語る

 日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)は、5月26日に14年3月期決算説明会を開催した。

 同社は、製造請負・派遣のIS(インラインソリューション)事業、修理・検査受託のCS(カスタマーサービス)事業、技術者派遣のGE(グローバルエンジニアリング)事業、子会社の志摩グループとTKRグループが展開する開発・製造受託のEMS(エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス)事業を展開している。

 事業戦略コンセプトとして「neo EMS」を掲げて、開発・設計といった製造業の上流プロセス分野を強化し、単なる製造アウトソーサーからキーテクノロジーを有して技術競争力も備えた企業グループへの変革を進めている。13年10月にTKRが日立メディアエレクトロニクスの電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業を譲り受け、14年3月にはパナソニック<6752>の車載向け除く電源および関連部品事業(高圧電源、低圧電源、マグネットロール、トランス等)を譲り受ける基本合意書を締結した。電源関連事業を同社グループのキーテクノロジー分野とする戦略。

 ところが、前14年3月期は、国内における生産減少や採算悪化、中国における受注環境悪化や人件費上昇などで、EMS事業を中心に収益が悪化した結果、売上高419億05百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益△6億43百万円(前年同期3億87百万円)、経常利益△1億75百万円(同5億64百万円)と増収ながら赤字となった。一方、純利益はTKRの株式追加取得に伴う負ののれん発生益が寄与して6億48百万円(前年同期比175.4%増)と大幅増益となった。

 前期は、主力事業のEMS事業が赤字となったことから、上場来初めての赤字となったが、一過性の赤字であったことから、今期の業績は急回復する見込み。

 15年3月期連結業績予想は、売上高488億円(前期比16.5%増)、営業利益4億90百万円、経常利益5億10百万円、純利益3億20百万円(同50.7%減)と2ケタ増益により、黒字転換を見込んでいる。尚、今期業績予想には、正式契約が済んでいないことから、パナソニックから譲り受ける事業の売上は見込んでいない。正式な契約は、今期10月を予定している。

 セグメント別業績予想は、主力のEMS事業では、売上高342億80百万円(前期比14.8%増)、営業利益3億40百万円(前期△6億21百万円)を見込んでいる。

 国内IS事業は、売上高114億90百万円(前期比17.5%増)、営業利益90百万円(同4.6%増)と増収増益。海外IS事業は売上高10億80百万円(同227.2%増)、営業利益0円(前期△58百万円)とメーカーからの人材転籍による在籍増に伴い大幅増収を見込む。

 CS事業の売上高は、12億85百万円(前期比7.5%減)、営業利益35百万円(前期△48百万円)と減収ながら黒字転換を見込む。売上高に関しては、既存案件の縮小が見込まれることから減収予想。利益面については、人員数の効率化が一段落し、収益改善が見込まれる。

 GE事業については、売上高6億65百万円(前期比16.2%増)、営業利益25百万円(前期△7百万円)を見込む。

 EMS事業の地域別売上高予想は、日本では105億93百万円(前期比27.7%増)と大幅増収を見込んでいる。要因としては、日立ME案件が本格的に立ち上がるため、引き合いが多くなっていることからかなり堅調に推移すると見ている。

 中国は、151億86百万円(同16.6%増)と2ケタ増収を見込んでいる。中国でも、日立ME案件により、新規案件の獲得を見込んでいる。

 マレーシアでの売上高は、144億35百万円(同28.4%増)と大幅増収を見込む。要因としては、引き続き増産基調にあると見ていることによる。尚、連結調整額は△32億21百万円を見込む。

 EMS事業の地域別営業利益予想は、日本△1億円(前期△4億51百万円)、中国51百万円(前期△3億91百万円)、マレーシア3億86百万円(前期比18.0%増)、連結調整額3百万円(前期△1億06百万円)を予想している。

 前期の決算内容の説明の後、代表取締役社長小野文明氏が市場環境、特に中国と電源関連事業を同社グループのキーテクノロジー分野とする戦略について以下のように語った。

小野社長コメント(以下):

 日本は、なぜ失われた20年の中で、製造業がコスト競争力の中で打ち勝ってきたのか、中国は相当研究しています。その中で、実は請負というシステムに注目しています。中国では、生産性が上がって賃金が上昇するシステムである請負というシステムを取入れることが一番だと気付いています。そこで、請負に移行するために、派遣を受け入れる企業に対する規制を強化しています。今年3月1日より施行された内容は、『派遣労働者の数は、派遣先使用者が使用する労働者人数の10%を超えてはいけない。また、労働派遣業者は、派遣労働者との間で2年以上の固定期間の労働契約を書面にて締結しなければならない』というものです。10%を超えてはいけないということは、企業にとって非常に厳しいルールです。この様な厳しいルールを施行することで、製造請負へ移行しようとする動きがあります。このルール作りである、製造請負の研究プロジェクトに、5社が参画していますが、その中に、当社も含まれています。実は、6月7日、無錫市でセミナーを開催して、製造請負の研究プロジェクトを正式に発表する予定です。ここで、無錫市の日系企業約300社は、厳しい派遣会社に対する規制に補完するものが何であるか知ることになると思います。我々は、モデル事業として、物流1社の内定をいただいており、さらもう1社決まると見込んでおります。当該2社を我々のプロジェクトの中に取り入れてまいります。法整備が出来た1年後か2年後にライセンスが発行されると思われます。それまでは、ライセンスを持っている企業は、日系企業は我々1社だけです。

 続いて、電源関連事業を同社グループのキーテクノロジー分野とする戦略について以下のように語った。

小野社長コメント(以下):

 電化製品には全て電源が付いています。電源技術は、決してハイテクではないけれど製品分野としては極めて裾野が広いテクノロジー分野です。電源は、発火等、品質事故にもつながりかねない技術分野であり、日系各社も安全規格について一定の品質レベルを求めることから、安定需要を確保していくことができ、EMS事業を展開する当社グループが進出するには格好の事業分野とも言えます。昨年10月に同じく電源事業を展開する日立メディアエレクトロニクス社より事業譲渡を受けたことをきっかけに当該事業分野への本格参入を図り、本年3月にパナソニックと一般電源事業の譲受について基本合意し、この分野でシェアを握ろうとしています。キーテクノロジー分野を強化し、サービスに付加価値を与えることで収益基盤を再構築し、更なる飛躍を実現します。」と語った。

 前期は、日本、中国での業績不振で、上場来初めての赤字転落となったが、今期は、これまでの事業戦略が奏功し、V字型の業績回復が予想される。更に、パナソニックとの契約が正式に決定すると、業績面での上振れが確実となることから、株価の急反発も期待できる。

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