オプト:12年12月期連結業績は大幅増収増益を達成
■第4四半期(10月〜12月)は過去最高の200億円台に突入
インターネット広告のオプト<2389>(JQS)は12年12月期連結業績を発表した。
売上高789億9百万円(前年同期比26.7%増)、営業利益15億6百万円(同36.1%増)、経常利益13億55百万円(同4.7%増)、純利益八億30百万円(同38.3%増)と大幅増収増益を達成した。
四半期毎の売上高推移は、第1四半期190億3百万円(前年同期比18.1%増)、第2四半期185億13百万円(同39.0%増)、第3四半期198億96百万円(同31.1%増)、第4四半期214億95百万円(同21.6%増)と12年に入り急増していて、第4四半期は過去最高の200億円台に突入している。
セグメント別の売上高、営業利益は、広告・ソリューション事業の売上高717億40百万円(同20.9%増)、営業利益19億85百万円(同52.1%増)、データベース事業の売上高27億8百万円(同65.5%増)、営業利益2億88百万円(同523.6%増)、S&C事業の売上高21億65百万円(同274.4%増)、営業利益△5億90百万円(前年同期△1億2百万円)、海外事業の売上高26億26百万円(前年同期比401.5%増)、営業利益△1億62百万円(前年同期△1億52百万円)。
主力の広告・ソリューション事業は大幅増収増益で、第2の柱であるデータベース事業も売上が急拡大したことに伴い大幅増益となっている。ところが、S&C事業、海外事業共に売上は急拡大したものの赤字幅が拡大している。
■広告・ソリューション事業領域では子会社、4社ともに増収・増益により収益貢献度は上昇
そのような状況について、2月1日の決算説明会で、代表取締役社長CEO鉢嶺登氏より説明が行われた。
広告・ソリューション事業領域では、運用系広告商材は、アドネットワーク広告、アフェリエイト広告に加えスマートフォン広告の取扱が増加した。また、データベース事業とのシナジー創出の本格化によりターゲティング広告の取扱が大幅に増加した。一方で、020(Online to Offlineの略称、具体的にはインターネットからリアル店舗への集客支援)参入に向けて、日本ヴィクサー社および米Retailigence社と業務提携し、新商材を開発している。3月から4月にサービスを開始する予定である。また、商材の高度化・多様化に伴い、市場ニーズに合わせて単体から子会社へ業務移管等を行い体制整備を実施している。その結果、子会社、4社ともに増収・増益により収益貢献度は上昇している。
■スマートフォン向けのターゲッティング広告に対応した「Xrost DSP for Smartphone」をリリース
データベース事業領域については、連結子会社であるplatformid(プラットフォームアイディ)が提供しているXrost(クロスト)ブランドのターゲッティング広告の拡販が順調であったこととXrostDSのメディア向けのサービスに特需があったことから過去最高の売上となった。また、platformidではスマートフォン向けのターゲッティング広告に対応した「Xrost DSP for Smartphone」をリリースし、PC、モバイル、スマートフォンの3デバイスをカバーするサービスを提供している。同じく子会社であるhotto link(ホットリンク)は米国のGnip社と連携したことで、日本企業で唯一Twitterの全データの活用が可能となっている。更には、セールスフォース・ドットコム社との資本業務提携によりソーシャルメディアデータ分析のサービスを提供する体制が整ってきている。また、データ分析に特化したConsumer Firstを2013年1月に設立している。この事業は、元々オプト単体でシーファインダーという商品名で提供していたサービスであるが、外部に出してよりスピード感を持って成長させることが目的となっている。ビッグデータという言葉が流行ってきているが、クライアントからのデータ分析のニーズが高まってきていることからデータサイエンティスト・アナリストの採用も考慮して、別の会社にした。
■S&C事業の単体の事業については原則として、昨年の12月末時点で撤退、今期で黒字化を目指す
S&C事業領域については、ソーシャル事業では、国内ではFacebook、Twitter、LINE、ブログなど様々なソーシャルメディア人口の増加に伴い、この部分でのマーケッティングコンサル、マーケティングの運用代行の仕事は増えている状況。しかし、S&C事業の単体の事業については原則として、昨年の12月末時点で撤退した。1月に既に、ソーシャル事業は広告・ソリューション事業に移管して統合している。コンシューマ事業については、連結で約6億円の赤字となっている。こちらも基本的には縮小・撤退の方向。オプト単体で立ち上げているコンシューマ事業では、ゼロからEコマースとかアプリとかを立ち上げていたが、昨年12月末で撤退した。更に昨年の1月に買収した技術者育成事業のマルチメディアスクール・ウェーヴというパソコン教室は、1年かけてリストラをしている。大きなリストラとしては、教室の統廃合を行い、全国に13教室あったものを5教室に統合した。加えて、講義内容も見直している。具体的には、エクセル、ワードといった従来型の講義内容からアドテクノロジーとか、ビックデーター、ソーシャルアプリの技術者を育成するような講座に変えている。この教室は昨年で約2億円の赤字となっていたが、赤字幅を大幅に縮小する目途がついている。S&C事業は今期で黒字化を目指している。
海外事業領域については、韓国のeMFORCE、Chai Communicationの2社は、大統領選挙の特需を受け、売上・利益ともに増加した。また、米国のインターネットビジネスの最先端情報を収集する目的で、オプトアメリカを設立している。その効果もあり、米国のRetailigence社との業務資本提携を結んでいる。一方、中国・インド・ASEAN地域については、調査を継続中である。
以上のように、広告・ソリューション事業、データベース事業は非常に順調であるが、さらに好業績を継続するための布石を打つ一方で、赤字幅が拡大したS&C事業、海外事業は前期末までに業務の統廃合・縮小を実施している。
■広告・ソリューション分野は、主力のインターネット広告自体は、今期もさら成長するだろうということで、積極的な投資を継続
今期の方針としては、広告ソリューション事業、データベース事業に経営資源を集中することと、強みを活かした成長分野への投資を加速することを掲げている。具体的な分野としては、スマートデバイス、O2O、データマネジメントプラットフォーム事業などである。
事業別の方針として、鉢嶺登社長は次のように語った。
「広告・ソリューション分野は、主力のインターネット広告自体は、今期もさら成長するだろうということで、積極的な投資を継続します。更に、スマートフォンを代表とするスマートデバイスを活用したO2Oへの本格的な参入をしていきたいと考えています。これは主に新聞の折り込み広告、この市場が約6,500億円あります。こちらが新聞の購読者の減少と共に徐々に新聞折り込み広告の効果が落ちているという声をクライアント様から聞きます。そして一番困りますのは、新聞の折り込み広告で集客していた小売流通店舗さんとなりますので、その小売店舗さんからのネットでの販売促進での相談が増えてきていますので、今当社としては、小売店舗さんにスマートフォンを使った販売促進支援といったところを中心に展開していきたいと思っています。一方で生産性の向上です。現在運用系の商材のニーズが非常に高まってきています。検索リスティングですとかアフェリエイト、あるいはアドネットワークとか運用系の商材のニーズが高まっていますので、その運用をしっかりと安定的に稼働させる。しかも、質の高いものとして提供してゆくということが非常に重要になっていきますので、主に地方の人員、中国の人員を活用しながら生産性、運用率の向上を図っていきます。業界に先駆けて前々から当社は実施していましたけれど、さらにここには注力していきたいと考えています」と広告・ソリューション分野での取組について語った。
■データベース事業の営業利益を倍増させ、広告・ソリューションに続く第2の柱に確立
データベース事業に関しては、「まず核となるのはXrostでございます。ビジネスモデル上データの量、質を高めていきます。また、広告の配信先を広げていくことが非常に重要になります。この2つを更に拡充させていきます。それによりまして、データベース事業全体としましては、営業利益を倍増させてゆくということで、広告・ソリューションに続く第2の柱に確立していきたいと思っています。このデータベース領域でキーワードになると思われますデータマネジメントプラットフォームに本格的に参入いたします。当社はXrostでネット上の1億4,000万人分のデータを保有していますし、CCCさんとの提携によりまして、リアルの購買データを1,000万人分以上保有しています。このようなデータに加えまして、クライアント様が保有している自社のデータと我々が持っているデータと相互流通させることで、各企業様が使いたいというご要望がございますので、当社が保有していますデータベース資産を各クライアント様のマーケティングに活用していただくというビジネスをこの春から開始するということで準備をしているところでございます。現在のところサービスインは4月を予定しています」と語った。
■S&C事業、海外事業共に今期黒字化を目指す
S&C事業に関しては、「オプト単体は12月末に事業撤退しました。連結で通期黒字化を見込みます。連結に入る会社は3社です。一社目がソーシャルアプリの会社であるモバイルファクトリー、もう一社が技術者を派遣するコンテンツワンという会社です。更にもう一社がマルチメディアスクール・ウェーヴという技術者を育てる会社です。この3社を合わせまして黒字化する計画です。モバイルファクトリーに関しましては、ネイティブアプリに注力してまいります」と今期で黒字化を目指す。
海外事業については、「人員の配置などの見直しを12月末の段階で終了しています。オプト単体でこれまで行っていた海外拠点の支援のために出向していた人材を引き上げて、日本国内の広告主の海外広告出稿支援のためにシフトしています。2つ目は、韓国の2社でNO.1のインターネット専業広告代理店を目指す計画です。そして、海外事業領域においても昨年は赤字でございましたので連結の通期で黒字化を目指していきます」と人員のシフトを行う一方で、韓国の2社の事業拡大により連結黒字化を達成する計画。
最後に、東証への市場変更、電通との業務提携内容変更について語った。
「東証への市場変更を目指すうえで、当局のほうから現状の契約内容であると上場はできないとの指摘がございまして、その部分で電通さんのほうで業務提携の内容の変更をご了解いただいたということでございます。具体的にこれまでと一番大きく変わるところは、共同仕入れ(メディアバイイング)のところでございます。この部分がなくなります。逆に変わらないところはナショナルクライアントの営業協業、リスティング広告運用協業でございます。人員体制については、見直すことになっています。株主比率については、変更はありません」と説明が行われた。
以上のことを実践することで、今期連結業績予想は売上高740億円(前期比6.2%減)、営業利益18億50百万円(同22.8%増)、経常利益18億50百万円(同36.4%増)、純利益8億50百万円(同2.3%増)を見込んでいる。
電通との共同仕入れの影響を除くと売上高は19.5%増となることから実質は増収増益となる。
前期まで赤字であった、S&C事業、海外事業の2事業を黒字転換する施策を実施したことで、利益率の向上が見込めるうえに、同社にとっては追い風となるネット選挙の解禁も予想されることから、業績の急拡大も期待できる。
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