ピーアンドピー:モバイル市場の拡大に伴い放送通信分野の売上が伸びる
■資産除去債務に関する会計基準の適用による特別損失が消え、最終利益は2ケタ増益
ピーアンドピー<2426>(JQS)は11日、12年3月期決算説明会を開催した。
12年3月期連結業績は、売上高226億89百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益5億7百万円(同0.8%減)、経常利益5億12百万円(同0.7%増)、純利益2億81百万円(同19.5%増)とモバイル市場の拡大に伴い、放送通信分野の売上が伸びたことで増収となった。
売上総利益は2.5%の増益になったものの、業務委託案件の急拡大により一時的な外注スタッフの利用が増加したことに加え、詳細な説明が必要となるスマートフォン販売拡大によりスタッフの残業時間が増加したことが響き売上総利益率が0.6ポイント低下した。更に、販管費が約1億円増えた影響もあり、営業利益は微減となった。
経常利益については、助成金収入等の営業外収益により、増益となった。更に、前年の資産除去債務に関する会計基準の適用による特別損失が消えた影響で、最終利益は2ケタ増益となった。
■震災後に発生した臨時棚卸案件を受託したことで棚卸サービスの売上も増加
取扱商材別売上高は、SPOサービス130億48百万円(同11.7%増)、ストアサービス19億54百万円(同1.8%減)、人材サービス56億62百万円(同5.1%減)、棚卸サービス20億23百万円(同12.0%増)となっている。
セグメント別売上高は、アウトソーシングは、スマートフォンが好調なモバイル分野を中心に請負化提案を推進した。また、震災後に発生した臨時棚卸案件を受託したことで棚卸サービスの売上も増加し、89億76百万円(同31.3%増)であった。
人材派遣は、人材派遣から請負案件への切り替えを推進したことから減少した。一方コールセンター派遣は好調であった。その結果、137億13百万円(同6.1%減)。
■グループ企業内派遣の割合が規制され、ビジネスチャンスが発生
前期の概要説明の後、今期業績予想と戦略について説明が行われた。
今期13年3月期の目標は、連結売上高230億円から250億円(前期比1.4%増から10.2%増)、連結営業利益5.5億円から6.5億円(同8.4%増から28.1%増)としている。市況により業績が激しく変動することが予測されることから、大阪証券取引所の開示規則に則り、レンジ形式で開示した。
今期13年3月期の人材派遣業の市場環境については、12年3月に「労働者派遣法改正」が国会で可決され、30日以内の日雇い派遣が原則禁止されることで、短期派遣市場が厳しくなる。但し、例外として「雇用機会の確保が困難な場合など」が挙げられている。また、グループ内派遣の割合が上限8割に規制される。
その様な状況で、同社では、PPRシステム(ピーアンドピーレポーティングシステム)を用いたSPO(セールス・プロセス・アウトソーシング)サービスによる、請負案件の獲得を随時増やしていく。更に、グループ企業内派遣の割合が一部規制されたことで、グループ外への業務発注が拡大する見込であるため、同社にとってはビジネスチャンスと捉えている。
■スマートフォンの継続的拡販を推進し、スキルの高いスタッフを育成
今期のそれぞれの市場分野を分析すると、モバイル・通信市場では、スマートフォンが市場の牽引役している。また、高速通信「Wi−MAX」や「LTE」の普及が現在も好調である。
デジタル・家電市場は、テレビの販売減少、パソコン単価の下落等により家電小売市場が縮小傾向にある一方で、太陽光発電、LED電球などエコ関連商材の販売が増えている。
ストア市場については、コンビニ、ドラッグストアの業績が軒並み好調であるが、食品スーパーは国内市場が縮小し、海外進出の動きが活発化している。ネットスーパーはエリアを拡大している。一方、専門店の出店も活発化している。
人材サービス市場は、事務派遣業界が縮小する中、軽作業派遣や製造業派遣が注目されている。
その様な環境下で、同社は、モバイル・通信市場については、スマートフォンの継続的な拡販を推進していく。また、冷蔵庫と高速通信とを組合わせるなど売り方も多種多様化しているため、販売スタッフのスキルの向上を図る。また、海外メーカー端末の日本での拡販へも対応していく。
デジタル・家電市場に関しては、売場全体としての販促提案を強化すると共に、省エネ家電、太陽光発電、電気自動車などのスマートハウス関連商材の販売支援を行う。
ストア市場に関しては、都市部展開への小型出店の加速にも対応する。また、中国等への日本の海外進出企業への支援サービスの提供を行う。さらに、コンビニと調剤薬局の併設が加速しているので、調剤士、販売員の不足が見られていることから、ビジネスチャンスと捉えている。
人材サービス市場に関しては、ネットスーパー、通販市場の拡大にあわせ、コールセンターや軽作業案件の需要が拡大しているため、今後も注力していく。一方で、BPOサービスも拡大しているため、管理部門系の一括請負業務をポイントとして取組む方針。
■今期の施策としては、既存ビジネスの拡大、利益率の向上等5つを挙げる
今期の施策としては、既存ビジネスの拡大、利益率の向上、新規ビジネスの推進、積極的なM&Aの推進、ホールディングカンパニー化の推進の5つを挙げている。
既存ビジネスの拡大については、高付加価値案件の獲得、成長産業・商品へのシフト、PPRシステムの継続推進によって対応していく。先ず、高付加価値案件を獲得するために、派遣から請負案件への切り替えを推進する。一方で、キャンペーン案件を獲得することで、スタッフの現場教育を実施し、スキルアップを図る。成長産業・商品へのシフトに関しては、薄型テレビに代わって家電量販店で取引高が拡大しているエコ関連商材やネットワーク家電、また海外メーカー製品に注力していく。PPRシステムについては、店頭の現在の状況が瞬時に見えることがメーカーにとって大きなメリットとなるので、日本全国での大きな案件を獲得することを目指している。
利益率の向上に関しては、請負案件の利益率向上、高粗利案件の獲得と推進、業務効率化を挙げている。請負案件の利益率向上については、モバイル請負案件の利益率を改善するために、外注スタッフの自社化を推進する一方で、接客時間の増加による採算性の低い案件の派遣化を進める。
■「もにったー」とPPRを組合せた新商品キャンペーンで大きな成果を上げる
高粗利案件の獲得と推進では、事務局運営のノウハウを活かした請負案件を進めると共に、高粗利案件キャンペーンを獲得する。更に販売力を活かした高付加価値案件の獲得で対応する。
業務効率化では、人員配置の適正化、提供サービスに適した業務運営体制の構築を実現していく。
新規ビジネスの推進としては、Web事業のSPOサービス「もにったー」の拡大、求人プラットフォーム「おいしい仕事」の活用を挙げている。
「もにったー」は、ネット上で、モニターを募集し、モニターに選ばれた人に、新商品を郵送して印象、感想をフィードバックしてもらう一方で、twitter、Facebookなどで口コミを投稿することで、新商品を一挙に宣伝する画期的なサービスである。実際に「もにったー」とPPRを組合せて実施した全国一斉の新商品発売キャンペーンは、大きな成果を出している。
■SPOサービスの領域を拡大して、バックヤードサポートサービスを開始
もうひとつの新規ビジネスは、中国・台湾に進出する日系のメーカー、家電量販店、携帯事業者、GMS、CVSをSPOサービスで支援する。例えば、商品サンプリング、現地イベント開催、PPRによるレポーティングサービス、棚卸支援サービス、導入支援市場調査の面において品質の高いサービスで支援していく。
更に、SPOサービスの隣接領域を拡大して、新しく「バックヤードサポートサービス」を開始する。サービスの内容は、商品の仕分け、梱包、ピッキング、商品陳列、売場改装、検品・検査、搬入・搬出などである。ネットスーパーが拡大すると、ピッキング需要が高まると予想されている。
積極的なM&Aの推進に関しては、SPOサービスの強化を目指し、シナジーが期待される隣接領域を中心に積極的にM&A、事業提携を推進する。特定の地域や顧客基盤に強みを持った企業とのM&A、事業提携を推進する。
5番目の施策である、ホールディングカンパニー化の推進については、株式移転により、完全親会社となる純粋持株会社を10月1日に設立する予定。その後、ピーアンドピーの保有する子会社株式及びピーアンドピーの管理部門を吸収分割により持株会社に承継する。
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