2012年07月09日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

エスプール:今期の業績は期初予想を上回るペースで推移


■6日に今期12年11月期第2四半期決算説明会を開催

エスプールのHP エスプール<2471>(JQS)は6日、今期12年11月期第2四半期決算説明会を開催した。
 前日5日に第2四半期連結業績予想の上方修正を発表しているように、今期の業績は期初予想を上回るペースで推移している。
 人材ソリューション事業において、西日本におけるコールセンター派遣業務の受注及びクレジットカードの会員獲得業務の受託が好調に推移したため、売上高及び売上総利益率が計画を上回ったことが上方修正の主な要因となっている。
 そのため、6日の株価は、上方修正を好感し、前日比2,420円高の2万9400円で引けている。
 第2四半期連結業績は、売上高25億51百万円(前年同期比13.1%減)、営業利益23百万円(同367.9%増)、経常利益17百万円(前年同期△3百万円)、純利益5百万円(前年同期比86.2%減)であった。
 売上に関しては、前期にシステム事業、パフォーマンス・コンサルティング事業の2事業売却したことで減収となった。営業利益、経常利益は不採算部門を売却したことにより、大幅増益となった。しかし、最終利益については2事業の売却益の影響で大幅減益となっている。
 セグメント別の業績は、アウトソーシングの受託(ロジスティクス、セールスプロモーション等)を行うビジネスソリューション事業の売上高は8億61百万円(同17.8%減)、営業利益41百万円(同29.2%減)、コールセンターや販売業務を中心とした人材派遣サービスを行う人材ソリューション事業の売上高は17億46百万円(同10.1%増)、営業利益1億57百万円(同18.9%増)、その他事業の売上高は8百万円(同2.5%増)、営業利益△3百万円(同52.4%減)であった。
 第2四半期の業績は、先述しているように、前期に不採算事業を切り離したことで、売上高は減少したが、利益面においては、4期振りに閑散期である第1四半期から黒字化する等その成果が表れてきている。

■名古屋、大阪、博多の3支店では単月の売上が過去最高を記録

 下期の事業方針について、代表取締役社長浦上壮平氏は次のように語った。
 「来期以降は積極的に事業を拡大していく方針です。その事業拡大に向けた体制の構築を図るのが今期です。しかし、もちろん黒字を計画しています。前期は経営改革を実行し、営業黒字を達成しました。また、債務超過を解消しています。今期は人材派遣サービスの積極的な拡大をメインに進めています。また、アウトソーシング体制の強化も推進しています。来期においては、人材派遣、アウトソーシングサービスの拡大と現在仕込んでいます新規サービスの収益貢献を考えています。今なぜ、人材派遣サービスの積極拡大をしていくのかと申しますと、昨年の下期から今期の上期に向けまして、人材派遣サービスにおきましては16.6%増の売上を達成しています。特に西日本の名古屋、大阪、博多の3支店では単月の売上が過去最高を記録しています。この要因は、コールセンター向けの派遣が非常に順調に拡大しているのが挙げられます。しかし、携帯電話販売の派遣、請負に関してはまだ実績が大きく出ていません。そのため、下期に何とか改善していきたいと思っています」と人材派遣を今期に拡大することを示した。

■1拠点当たりの売上の最大化を目指す

 「まずそのために何を行っていくかというと、既存支店の拡大というものを考えています。1拠点当たりの売上の最大化を目指します。西日本3支店で過去最高の売上をあげていますので、コールセンター業務の多い札幌、仙台、新宿、金沢の支店を重点強化していきます。コールセンターの仕事がバックオーダーでかなり積み上がっています。そこに対して人材の供給を続けるために、クオリティーを強化していきます。更に専門営業というのを設置しまして、今までは各拠点で営業を行っていましたが、コールセンターは、担当者が全国を回るように配置しました。また、クレジットカードの会員獲得については、我々は創業以来かなり自信を持って行ってきたのですが、上限金利の法律の関係等で、ここ数年販促費が使われていませんでした。ところが昨年度で、ほぼ処理が終わりまして、クレジットカード会社については、今年から会員獲得のための勧誘業務というのが増えてきています。それに伴いまして、我々もクレジット会員獲得のための専門業務を配置しておりまして、こちらも順調に推移しています。また、試験運営サービスも注力しています。これは、試験会場に試験監督を出すというだけではなく、試験の受付から合否の採点、更に、その発送業務までトータルで請け負う業務です。その大型案件が控えておりまして、そのトライアルというのがこの下期に始まります。当然そこにも専門の担当をつけています。このトライアルが成功すれば、かなり今後大きな収益に貢献することになります。最後に、販売支援業務の改善については、運営体制等見直さなければならないということで、上期中に見直しを行っております。家電量販店さんに向けて、我々の営業はもっと特化しなければならないということで、営業員を積極的に配置しております。今期、来期、この新たな取組みが大きく寄与してくるものと期待しております」と今後の取組み、現在の状況等について語った。

■トライアルの結果、支店の売上高は1.5倍、営業利益は3倍に増える

 更に、「何故、人材派遣サービスを大きく伸ばすと発表しているかと申しますと、こういう事例があります。今年、1支店を最大化するというトライアルを実施しました。この結果、人件費は3%しか変わらないのに、売上高は1.5倍、そして営業利益は3倍出ました。同じく、名古屋、博多についてもほぼ同じ結果が出ました。この3支店は、私の直属で行ってまいりました。これを全国的に広げていくのが、この下期のミッションと捉えています。何故ローコストオペレーションが出来たかと申しますと、まず当社独自のシステムがございまして、業務の標準化ということで可能となります。アルバイトの方でも正社員並みの仕事が出来るようなシステムの構築になっています。更に、派遣の会社というのは応募の電話とか、登録用紙の入力とか、事務作業が非常に多くて残業も多くなりがちです。また、人員も多く配置するというのが一般的ですが、我々はその業務を北海道の北見のコールセンターに集約しておりまして、数人で出来るように構築しました。大幅にコストカットと標準化が進んでいます。ローコストオペレーションが実現できましたので、損益分岐点が非常に下がりました。売上を伸ばした分だけ、販管費を掛けずに、収益に結び付くというのが、我々がこの半年間目指していたことなので、今後、支店の出店を行ってまいりますが、M&Aを行い、我々のオペレーションを導入することで収益に結びつけることも考えています」とローコストオペレーションが完成したことで大幅増収への道が開けたことを紹介した。

■ロジスティクスアウトソーシングは、3年間で利益率が年々上昇

 ロジスティクスアウトソーシングに関しては、「当社のロジスティクスサービスは、大きく分けて2つありまして、センター請負というお客さんのロジスティクス倉庫を全般で請け負って運営していくサービスと発送代行業務があります。今後自社センターという発送代行業務に注力していこうということで、この上期は今後の拡大に向けて人員の教育、人員の強化、案件の積み上げ等を行っています。これまでの3年間で、利益率が年々上昇していまので、今期から新規の顧客を獲得して売上を伸ばしていこうと思っています。その様な状況で、我々の主な顧客であるECサイト運営会社では、ネット通販の価格は年々厳しくなってきています。そのため、お客さんはこれから値段で差別化するのは無理だということで、色々試行錯誤しています。その中で、注文したら当日届く、当日配送便や、土日でも発送する体制が非常に重要になっています。顧客離れが進んでいるECサイトの運営者では、当日配送便、土日の発送が出来るロジスティクス体制が整っているところを探しています。当社のセンターは平和島という非常に都心に近い所にありますから、大消費地の東京近郊におきましては、当日便、遅くとも翌日には届けることが出来ますので、その点が非常に評価されています。また、ネットでお買い物している人達は、良かった、悪かったというレーティングを非常に気にしていますので、我々はロジスティクスセンターの中でECサイト専門のロジスティクスセンターということでレビューを上げるためあらゆることをして、我々の中に入っている顧客のECサイトの売上が最大になるように努力していることが評価されています。その結果、利益率が上がっています」とロジスティクスアウトソーシングの現況を説明した。

■「障がい者雇用支援サービス」では、農園の提供から就農人材の紹介までワンストップで提供

 引き続き、新規サービスである「障がい者雇用支援サービス」、「シニア人材サービス」、「グローバル人材サービス」の事業方針が紹介された。既に「障がい者雇用支援サービス」では、営業の強化により上期で、1号農園は完売し、現在2号農園の販売が開始されている状況である。下期からは、障がい者の就労移行支援サービスを開始する。既に就労する場所は、農園を確保しているため、障がい者の教育の終了後、就労が出来る環境が整えられている。そのため、障がい者雇用を検討する企業に対して、農園の提供から就農人材の紹介までワンストップで提供することが可能となっている。
 「シニア人材サービス」の市場は非常に伸びている。シニア層でまだまだ働きたいと思っている人達も多いことから、サービスの充実を図ることで需要の拡大が期待されている。現在は顧問派遣サービスを展開しているが、下期からはシニア派遣サービスを計画している。自分のペースで働けるように、一般派遣、短期派遣も行う。
 「グローバル人材サービス」は、6月にスタートしたばかりであるが、現在中国、韓国、東アジアからの旅行者も増えており、今後の拡大が予想されている。しかし、日本の国内では、観光地や商店、飲食店では言葉が通じないことから非常に苦労している。現在は、通訳とか高給な派遣しかないことから、ショップ、飲食店、ホテル、観光地等ではニーズは高いといえるため、今後の事業拡大が期待できる。
 以上のように下期に向けての取組みが着々と進み、今後大きく事業が拡大する道が見えてきている。
 今期11月期連結業績予想は、売上高52億円(前期比6.0%減)、営業利益90百万円(同177.7%増)、経常利益80百万円(同351.8%増)、純利益62百万円(同69.8%減)を見込む。
 第2四半期で営業利益、経常利益共に大幅増益を達成していることから、事業戦略の正確性が明確となっている。今後の事業拡大に期待。

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