2013年05月22日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

アルコニックス:既に、M&Aと海外展開により事業拡大の体制が整う


■前13年3月期は自動車、家電、IT向けの需要が落ち込む

 レアアース、レアメタルで売上を拡大し、12年3月期には大幅増収増益で上場来最高益更新を達成したアルコニックス<3036>(東1)は、自動車、家電、IT向けの需要が落ち込んで、前13年3月期の連結業績は売上高1647億69百万円(前年同期比25.3%減)、営業利益32億86百万円(同29.9%減)、経常利益28億92百万円(同35.7%減)、純利益14億30百万円(同41.6%減)と大幅減収減益となった。

 厳しい状況の中で、17日に開催された同社の決算説明会で、代表取締役社長正木英逸氏は以下のように話した。

 「13年3月期の業績は、過去最高益でありました12年3月期に比較すると大幅減収減益となりました。状況としては、期末にかけて為替が円安に転換したことで、輸出に改善の兆しがみられるものの、期を通じて自動車、家電、IT向けの需要が落ち込んで、更にレアアース、レアメタルの取り扱いの大幅減による収益ダウンということがかなり響きました。財政状態につきましては、棚卸資産減少等による資産圧縮と利益剰余金増加で自己資本比率は前年度に比べ2.0ポイント改善し21.8%になりました。NET DE レシオ(純有利子負債÷自己資本)は前年度は1倍弱でしたが、色々投資を重ねたものの1.0倍で推移しています。トピックスとしては、我々が積極的に働きかけてきましたM&Aを3件実行しました。昨年12月末にアメリカのメッキ材料のUNIVERTICAL社を買収しました。同社は米国と中国に生産拠点を持ち、年間売上約120億円、経常利益10億円程度を上げる会社です。のれんの償却をこなしても5億円程度の経常利益を上げる見込みです。本年4月には大羽精研を子会社化しました。この会社は研削が主なメーカーです。主要な材質はアルミ、セラミックなどです。いわゆる半導体用のチップマウンターメーカーを主に部品を納めている非常に財務内容の良いメーカーでございます。それ以外に本年4月にスクラップヤードのオペレーションを行う大阪アルミセンターの営業譲渡を受けました。この3社が今期以降収益に大きく貢献するだろうと期待しております。それから海外展開については、連結子会社のアドバンスト マテリアル ジャパン(AMJ)が1月にシンガポールに法人を設立し、シンガポールから三国間取引を中心とした展開をしていこうということでございます。ご存知かと思いますが、シンガポールはアジアにおけるビジネス情報の集積地ということで、その効果は大きいだろうということで期待しています。」と既に、M&Aと海外展開により事業拡大の体制が整ったことを紹介した。

■今期14年3月期はUNIVERTICAL社、大羽精研2社の売上高153億円が加わる

 今期14年3月期連結業績予想は、売上高1920億円(前期比16.5%増)、営業利益36億円(同9.5%増)、経常利益33億円(同14.1%増)、純利益22億50百万円(同57.3%増)と増収増益を見込む。

 売上高に関しては、M&AをしたUNIVERTICAL社、大羽精研2社の売上高153億円が加わることで、大幅増収を見込んでいる。

 セグメント別の売上高、セグメント利益は、軽金属・銅製品769億40百万円(同23.6%増)、12億80百万円(同74.0%増)、電子・機能材719億30百万円(同6.4%増)、16億50百万円(同13.6%減)、非鉄原料326億30百万円(同29.8%増)、2億50百万円(同156.2%増)、建設・産業資材105億円(同7.4%増)、1億20百万円(同19.2%減)を見込む。

 軽金属・銅製品は大羽精研の貢献により、大幅増収増益を見込む。

 電子・機能材は、UNIVERTICAL社が売上・利益に貢献するが、レアメタル・レアアースの利益減少をカバーしきれずに増収ながら減益の見通し。

 非鉄原料は、スクラップヤードの買収及びアルミ合金塊の海外取引増により大幅増収増益を予想。

 建設・産業資材は急激な復興需要が期待できないことから、増収ながら減益見込み。

 UNIVERTICAL社、大羽精研2社をM&Aしたことで、今後の同社の中期経営計画も弾みがつく。

 正木英逸社長は、今期を初年度とする中期経営計画について、「今期経常利益を33億円、15年3月期42億円、16年3月期50億円とする中期経営計画を立てています。かなり急傾斜の利益計画を立てていますが、これは実現できると確信しています。ROEは16年3月期で13〜15%程度を目標にしています。前期は一時的に保有株の評価損を出したこともあり下がりましたが、平時であれば大体17%、18%、場合によっては20%近くまでありました。NET DERは1.0〜1.3倍程度で展開させたいと思っています。投資計画は3年間で30億円〜40億円を計画しておりますけれども、M&Aを実行する場合は、別枠で検討します。数字はシャープに伸びる計画ですが、具体的には既存の事業が2年目、3年目には回復するだろうと見ています。ご存知のように円安でありますので、非常に経済環境が良くなってきていることをジリジリと実感しています。それと新たなM&Aによる利益の積み増しをおこなっていきます」と今後の事業拡大に手応えを感じている。

 中期経営計画の最終年度である2016年3月期の連結業績予想は、売上高2330億円、経常利益50億円を見込んでいる。この数字は過去最高である2012年の売上高、経常利益を上回っている。レアアース、レアメタルで過去最高を達成したが、今回は、新たな戦略で、最高益更新を目指す。再度成長路線に浮上した同社の今後の展望は明るいといえる。

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