2014年5月19日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

アルコニックス:今期業績予想と共に中期経営計画を発表


■中期経営計画では、15年の経常利益42億円、16年47億円、17年52億円を目標とする

 非鉄金属専門商社のアルコニックス<3036>(東1)の株価は、16日場中に14年3月期業績と期末配当の増配を発表したことから、株式市場が全面安の中であるにもかかわらず逆行高の2,130円(前日比90円高)で引けた。

 同社は、軽金属・銅製品(伸銅品、銅管、アルミフィンなど)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金 など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う専門商社で、特にレアメタル・レアアースに強みを持っている。M&A戦略で13年1月に金属・化成品 メーカーの米ユニバーティカル社、13年3月にアルミスクラップ販売の大阪アルミセンター、13年4月に産業機械用精密加工部品メーカーの大羽精研を子会社化した。投資に関しては、12月にはタイの連結子会社であるALCONIX LOGISTICSが日系企業、及び現地パートナー企業とアルミダイカスト機用消耗部品の製造合弁会社を設立した。直近では、今年1月に住宅建設資材、自動車関連部品、環境・エネルギー関連資材などの設計、製造、販売を主力事業とするケイ・マック社の株式18.6%を取得し、更に4月に1.4%を追加購入したことで、持ち分法適用関連会社としている。

 これまで、同社は10件のM&Aを実施し、すべて成功させている。更に29件の事業投資を実施し、関連会社、出資会社として新たな商流の創出、業容拡大を実現している。

 その結果、業績はほぼ毎期右肩上がりのトレンドを形成している。14年3月期連結業績は、売上高1,837億49百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益34億84百万円(同6.0%増)、経常利益36億円(同24.5%増)、純利益31億44百万円(同119.8%増)と増収増益を達成した。特に純利益については、負ののれん益を特別利益として計上したこともあり、史上最高益となった。

 同日、今期業績予想と共に中期経営計画を発表した。今期15年3月期連結業績予想は、売上高2,060億円(前期比12.1%増)、営業利益36億円(同3.3%増)、経常利益42億円(同16.7%増)、純利益29億円(同7.8%減)を見込んでいる。

 中期経営計画では、15年の経常利益は42億円、16年47億円、17年52億円を目標としている。純利益については、15年29億円、16年31億50百万円、17年35億円を計画している。

 中期の目標数値を達成するための方法について、同社代表取締役社長正木英逸氏は以下のように説明している。

 「今期の経常利益は42億円としているため、前期より6億円増やす必要があります。この6億円増は、営業の努力によるものと持分法適用会社からの利益を合わせた合計です。これは固めの数字と見ています。16年は47億円を予想しています。つまり今期目標より5億円増えます。これを実現するためにM&Aを実行することで達成する計画です。既に交渉は数件にわたって進んでいます。ほぼ大詰めに至っているところです。それから最終年度に至る47億円から52億円の5億円の上積みは、通常ビジネスの上積みにもよりますけれども、それとは別にM&Aを実行することで、達成しようと考えています。」と語った。

 投資金額に関しては、「NET DER【負債(または有利子負債)÷自己資本】については、中期計画では1倍から1.3倍程度に収まるように努力します。MAXでも1.3倍に抑えるようにします。その結果、今後3年間で150億円の新たな投資をする計画です。それによって利益を積み上げていく計画です。150億円投資して、経常利益率10%以上を達成する計画です。対象としては、M&A、事業投資、設備投資を行うことで利益を増やします。」と投資の規模について説明した。

 収益力を強化するために、電子材料分野、環境対応関連分野、海外事業展開に注力する。

 電子材料分野では、原料であるレアメタル、レアアースを使った材料である結晶材料、半導体材料、液晶・電池材料等の取り扱いを増やしていく。

 環境対応関連分野においては、基本的には、レアメタル、レアアース関連。一つは、省エネ関連のLEDとか金属珪素、または、環境対応のハイブリッドカーに使われる磁石関係のレアアース、軽量化に使われるチタン等の分野の強化を行っていく。更に、リサイクルの分野を強化する。昨年アルミの処理工場を取得しているが、今年は、銅のスクラップヤードを取得する計画。また、レアアースのリサイクルの事業を今年4月よりスタートしている。海外の酸化物を輸入し、金属の加工工場と組んで、リサイクル事業を展開している。日本は世界一のスクラップの発生国で、当分この状況は継続するため、将来には輸出も増えるということで、リサイクル事業は非常に有望な事業と予測している。

 国内取引額は全体の30%程度で、13年、14年共にほとんど変化はない状況。そのため海外の取引に注力していく計画。現地進出の日系企業及び現地企業との地場取引と、海外店間の取引である三国間ビジネスの拡大に注力する。更に、海外拠点を拡大するために、インドネシア、インドなどに拠点の設立を検討している。

 一時は、レアアース、レアメタルの需要が一挙に伸びたことで、同社の業績は、急成長したが、産出国である中国による輸出規制が行われたことで、大きく影響を受けた。しかし、M&A戦略をとったことで、僅か1年で成長路線に戻り、その後右肩上がりの成長を継続していることから、同社の事業展望は明るいといえる。

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