2013年11月14日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

アルコニックス:第2四半期は経常利益を除き全て前年同期を上回る


■Univertical、大阪アルミセンター、大羽精研の粗利率が高いことから売上高総利益は21.9%増と大幅に伸びる

 非鉄金属の専門商社であるアルコニックス<3036>(東1)は、今期第2四半期の決算説明会を決算発表日11日と同日、本社で開催した。

 同社は、レアアースの需要が旺盛で、売上高も価格も急騰したことで、12年3月期は最高益更新を達成した。翌13年3月期は、中国の輸出規制等の影響もあり、一転レアアースの売上高が激減したことから、大幅な減収減益となった。

 そのような状況の中で、落ち込んだレアアースの売上・収益をカバーし、業績を回復するために、積極的なM&A戦略を推進している。

 13年1月にはめっき材料等を製造する独立系の金属・化成品メーカーであるUniverticalグループの全株式を引き取り子会社化した。更に、4月には大阪アルミセンターの営業譲渡を受け大阪アルミセンター(株)として営業を開始する一方、産業機械用精密加工部品の製造会社である大羽精研を子会社化した。

 その結果、今期14年3月期第2四半期連結業績は、売上高889億39百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益18億77百万円(同9.1%増)、経常利益17億99百万円(同10.7%減)、純利益18億円(同77.3%増)と経常利益を除き全て前年同期を上回った。

 今期もレアアースの取扱が大幅に減少したが、一方で、円安効果により自動車関連向けの取扱が増加した。また、M&A効果もあり売上高は微増となった。

 利益面については、売上高総利益が55億10百万円(同21.9%増)と大幅に伸びた。この要因は、子会社化したUnivertical、大阪アルミセンター、大羽精研の粗利率が高いことが挙げられる。一方で、子会社が3社加わったこともあり、販管費は36億32百万円(同29.8%増)と前年同期で8億35百万円増えた。しかし、営業利益は増益となった。経常利益については営業外収支が悪化したことで減益。純利益については、株式取得と事業譲受による負ののれんを計上したことにより大幅増益となる。

■軽金属・銅製品の業績は2ケタ増収大幅増益

 セグメント別の業績は、軽金属・銅製品の売上高は364億95百万円(同15.1%増)、セグメント利益7億64百万円(同70.4%増)と2ケタ増収大幅増益であった。好業績となった要因は、従来からの子会社林、大川、三伸、三高の業績が順調であったことに加え、新しく子会社となった大羽精研が当初予想を上回る業績を達成したことによる。

 電子・機能材は、売上高321億91百万円(同19.1%減)、セグメント利益9億12百万円(同35.6%減)と大幅減収減益であった。この要因は、前期145億円あったレアアースの売上高が70億円と半減したことによる。

 非鉄原料は、売上高158億84百万円(同31.3%増)、セグメント利益86百万円(同39.5%増)と大幅増収増益を達成。アルミ、銅といったスクラップの売上が好調であったことに加え、円安により輸出が好調であったことによる。

 建設・産業資材の業績は、売上高43億66百万円(同11.5%減)、セグメント利益96百万円(同25.0%増)と減収ながら大幅増益であった。要因としては、国内向け配管機材の取扱は減少したが、アジア中東向けの配管機材、銅合金素材の輸出が好調であったことが挙げられる。

■今期通期連結業績予想は増収増益、最終利益は過去最高を見込む

 10月22日に上期の業績と下期の予想を踏まえ、通期業績予想の修正を発表した。売上高は、当初予想の1,920億円から1,800億円、営業利益は36億円から33億円、経常利益は当初予想通りの33億円、純利益は22億50百万円から27億円と修正した。

 売上高を120億円下方修正した最大の要因は、レアアースの取引が計画より70億円下回ることによる。また、中国での取引が落ち込んでいることも要因といえる。

 売上高、営業利益は当初予想を下回るものの、前期と比較すると、売上高9.2%増、営業利益0.4%、経常利益14.1%増、純利益88.7%増と増収増益を見込む。なお、最終利益は過去最高となる見込み。

■新たな素材へ、新たな市場へ、新たなサービスへ、新たな分野へ、慎重にして大胆、前向きに積極的姿勢を貫く

 レアアースの大幅減収が継続する状況で、今期の業績、今後の業績に大きな影響を与えると思われるが、この点を踏まえ、これまでの取組と今後の取組について、代表取締役社長正木英逸氏が語った。

 「考え方としては、我々の経営理念にあります新たな素材へ、新たな市場へ、新たなサービスへ、新たな分野へという気持ちを強く持っていまして、慎重にして大胆、前向きに積極的姿勢を貫いていくという方針です。守りに入ると商圏の維持も難しいと考えています。相場の変動を嘆いても、『気の毒ですね!』と言われてそれで終わりですから、どんどん売り上げが拡大して、会社が大きくなっていく姿を追求していこうと考えています。具体的には、当社のコア事業になりましたレアアース、レアメタルの事業は収益の核でありますが、それを補う新規事業、例えば今回買収させていただきましたUnivertical、大阪アルミセンター、大羽精研等が安定的に収益に貢献してきまして、我々としては安定的に収益力が期待できる会社となってきました。レアアースが駄目なら皆コケた、ということがない会社になってきたということを非常に自負しています。

 さて、今後の中期計画についてお話しさせていただきます。売上高はともかく、経常利益については、今期33億円、15年3月期42億円、16年3月期50億円を見込んでいます。レアアースの利益が前期より6億円減ると見ていて、今年の33億円は厳しいと思っていました。しかし、M&AしたUnivertical、大阪アルミセンター、大羽精研の利益で補い、更に4億円積み上げる見通しを持っています。33億円の達成は、かなり精度は高いと思っています。

■優良な投資物件への投資を実施し、中期経営計画の数字を達成

 来年、再来年については、アベノミクスの影響により、既存商圏の回復、電子材料関係のレアメタル、レアアースもこれまでのようなことはないだろうと思います。アルミ、銅もかなり輸出が増えてきています。新にリサイクルの事業も加わってきます。また、この期間に新たなM&Aを実行する他、新たな事業投資を行います。例えば、Univertical社における中国での新たなオペレーションを実施する。それから東南アジアでもう一つ新たな工場をつくる。大川関係で新しい航空機関連の仕事が加わってきましたので、新たな設備投資が必要かなと考えています。その他、金属加工事業への投資、既に行っています上海への投資に準じたような、優良な投資物件への投資を実施し、中期経営計画の数字を達成します。

 それからもう一つは海外店の展開ですね。上海の店を資本増強して、中国国内で商売ができるように、もう少しダイナミックな展開ができるような体制にしておきます。AMJではシンガポール法人を設立し、三国間取引で外部利益を取り込むという形で展開することを始めています。更にインドネシア、インドで新たな店舗の開設を行い、頭打ちになっている国内商売を補い、海外での展開によって利益を積み上げていく方針です。

 具体的な営業収益力の強化、一つは電子材料分野、日本に残った唯一強い、部品、素材の分野、匠の世界ですね。たまたま、当社はこの分野に強いということで、この分野で全体のパイが減ってもシェアを上げることにこだわります。ここに人的な、或いは資金的な資源を投入していこうと思っています。

 環境対応分野については、チタン、金属ケイ素、ガリウムメタル、サファイア、レアアース、この様なアイテムに力を入れていきます。それにリサイクルの事業もレアアースを含めて行っていきます。

 更に投資案件の推進を今まで通り行ってまいります。事業投資は、中期経営計画では30億円から40億円をトータル3年間で行って参ります。M&Aはこの枠内にはあらずして、場合によっては百数十億円を投資する覚悟でおります。算出根拠は、今ネットの負債倍率が0.99倍ですが、我々としては1.3倍までは許せるだろう、投資家、株主の皆さんも認めてくれるだろうということで、逆算して新たに獲得する利益と、1倍が1.3倍に拡大することで120億から130億の資金が捻出できるであろうということで、積極的にM&Aを展開していこうと思っています。M&Aの対象としては、流通業製造業を問わない、川上川下を問わない、国内国外を問わない、非鉄金属にとどまらず、グローバルでニッチでその業界のトップないしトップに近い、収益力が安定していて、将来性があるそのような製造業を狙っていきます。」と語った。

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