三栄建築設計:12年8月期業績は増収増益の最高益更新で着地
■供給戸数は11年8月期の1,023戸から412戸増と急増
戸建て住宅の三栄建築設計<3228>(東1)は10日、前12年8月期決算説明会を開催した。
12年8月期業績は、売上高486億34百万円(前年同期比28.7%増)、営業利益53億18百万円(同3.4%増)、経常利益48億95百万円(同1.7%増)、純利益27億25百万円(同0.8%増)と東北エリアの復興需要で工事業者の手配が遅れたが、増収増益の最高益更新で着地した。
供給戸数は、分譲販売棟数、請負引き渡し棟数共に増えたことに加え、マンション販売戸数が加わったことにより1,435戸と11年8月期の1,023戸から412戸増と急増している。中でも同社が得意とする木造3階建ては、961件と230棟の増加となり、首都圏の木造3階建てのシェア約8.0%を占めるまでに成長している。同社では10%を目標としている。
■セグメント別売上高は不動産販売事業23.7%増、請負事業73.49%増
セグメント別の売上高を見ると、不動産販売事業412億61百万円(同23.7%増)、不動産請負事業62億6百万円(同73.49%増)、賃貸収入事業11億66百万円(同38.2%増)となっている。不動産販売事業の内訳は、戸建分譲398億30百万円(同19.4%増)、マンション分譲14億31百万円。全体の売上構成比は、分譲戸建82.0%、注文・請負13.0%、分譲マンション3.0%、賃貸収入2.0%となっている。
売上総利益率は17.6%と前年より2.9ポイント低下しているが、販管比率は6.7%と0.2ポイント改善されている。
事業別の売上原価は、不動産販売事業では、土地購入費217億25百万円(構成比63.2%)、材料費50億28百万円(同14.6%)、労務費5億93百万円(同1.7%)、外注費65億3百万円(同18.9%)、経費5億24百万円(同1.6%)となっている。売上原価構成比では、土地購入費0.5%減、材料費0.3%減、労務費0.2%減、経費0.1%減となっている一方で、外注費が1.1%の増となった。
不動産請負事業では、材料費22億69百万円(構成比42.8%)、労務費2億79百万円(同5.3%)、外注費26億2百万円(同49.0%)、経費1億53百万円(同2.9%)。不動産請負事業の売上原価は、3階建て比率が上昇したことと材料費の上昇により、1棟当たり約35万円の増加となった。
■自己資本比率は、41.2%と初めて40%を上回る
貸借対照表では、流動資産合計249億72百万円(前年同期比14億84百万円増)、固定資産122億90百万円(同35億29百万円増)となっている。流動資産が増加した要因は、新株式発行及び株式増加により現預金が22億45百万円増加したことが挙げられる。固定資産の増加は、賃貸用不動産の購入ことが主な要因。
流動負債は171億19百万円(同1億77百万円増)、固定負債は47億18百万円(同7億69百万円増)であった。固定負債の増加要因は、社債が1億15百万円増加、長期借入金が5億83百万円増加したことによる。
純資産合計は、153億78百万円(同40億98百万円増)となっている。主な増加要因は、繰越利益剰余金が24億42百万円増加したことによる。その結果、自己資本比率は、41.2%と初めて40%を上回り、前年同期比6.2ポイントアップし、財務体質の健全化が進んでいる。
■重要施策としては生産コストの削減など3つの方針を示す
今期13年8月期の重要施策としては、生産コストの削減(建築費10%削減)、社員の生産性の向上、完成前契約率の改善(70%へ)と3つの方針を示し、これらのことを実現するために、執行役員制度を設け各事業本部毎に執行役員を置き、スピーディーな事業展開と事業本部ごとのコスト削減が可能となるような体制作りを行っている。
不動産販売事業では、組織強化、エリア深耕により業績の向上を見込む。不動産販売事業のマンション部門については、戸建住宅で培った「高い居住性」をメディアシリーズで引き続き展開していく。今期は新たに埼玉南エリアで2棟の販売を予定している。
不動産請負事業では、新たな顧客を獲得することで、早期に700棟の受注を目指す。業者については、安定受注を順調に獲得できているため、更に受注を拡大を目指し、新規業者の確保を図っている。エンドユーザーに関しては、ハウスメーカーでは対応できないような技術力で、狭小地や変形地での受注拡大を図るとしている。
アセット事業(不動産賃貸事業)では、高利回り物件情報を精査し、新規取得を図ることで、高い稼働率、入居率を維持する方針。前期では、稼働率94.5%、入居率95.6%となっている。
■10月1日に三建アーキテクトを設立、今期より連結決算となる
10月1日に設立された、郊外エリアへの分譲戸建住宅を行う子会社の三建アーキテクトについては、ローコストで2×4工法による2,000万円台の2階建てを供給していくことで、戸建住宅の新事業領域の拡大を図る。
今期より子会社三建アーキテクトの業績も含めることから連結決算となる。今期連結業績予想は、売上高571億77百万円、営業利益60億78百万円、経常利益55億74百万円、純利益30億66百万円、一株当り純利益144円51銭を見込む。
12日の株価は、737円で引けている。チャートを見ると安値圏であり、株価指標も予想PER5.0倍、PBR1.0倍、配当利回り2.6%と割安であることから、株価の見直しが予想される。
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