2012年11月30日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

サンコーテクノ:第2四半期連結業績は増収大幅増益


■補修関連の売上が大きく伸びる

 あと施工アンカーメーカー最大手のサンコーテクノ<3435>(JQS)は22日、今期13年3月期第2四半期決算説明会を開催した。

 代表取締役社長洞下英人氏は、第2四半期業績概要、通期業績予想、中期経営ビジョン・戦略の順で説明した。

 第2四半期連結業績は、売上高68億14百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益3億54百万円(同55.1%増)、経常利益3億40百万円(同65.8%増)、純利益1億14百万円(同44.2%増)と増収大幅増益。

 「思いのほか前半は苦しみましたが、売上が伸びてきているのは、あと施工アンカーの受注が堅調に推移してきたためです。特に、耐震工事ではなく、細かい補修関連の部分が大きく伸びてきたことが挙げられます。それと営業利益の部分を見てもらうと分かりますように、販管費や原価削減を行ったことで大幅な増益となりました。これは、当社の主力製品であるあと施工アンカーの部分で、タイ工場(サンコーファステムタイランド)、協力工場の協力の元、原価削減が出来たことによります。それからTPPを見越し、日本での生産と、海外での生産の比率をうまく勘案しながら、日本でのモノづくりを大事にしていきたいと思っています。そのため、工場改革、並びに製造改革を行っているところでございます」(洞下英人社長)とこれまでの状況を説明した。

 同社の製品開発力は、今やあと施工アンカーの代名詞とも言われている「オールアンカー」(商品名)の開発に代表されるように、業界では定評がある。今期も上半期に4種類の新製品を発表している。まず、7月にL150シリーズのコアドリルビット、同月にオールアンカー用防食保護キャップのジンクハット、9月には、耐震工事向けドリルビットのオールドリル パワージェックス、同月にアルコール測定器勤怠管理システムのALCガーディアンforタブレット、スマートフォンを開発している。

■ファスニング事業はタイ工場、協力工場による原価低減の実現で大幅増益

 セグメント別の売上構成比は、ファスニング事業79.0%(前年同期78.7%)、リニューアル事業17.1%(同16.6%)、センサー事業3.9%(同4.7%)とセンサー事業の比率が下がっている。

 ファスニング事業(あと施工アンカー、ドリルビット、電動油圧工具等の開発・製造・販売)の業績は、売上高54億14百万円(同4.3%増)、セグメント利益3億64百万円(同44.3%増)と増収増益であった。増収の要因としては、首都圏における再開発需要が好調に推移したことと、電動油圧工具の売上が好調だったことが挙げられる。利益については、タイ工場、協力工場において、主力商品の原価低減が実現したことにより、大幅な増益となった。一方、建設資材や人員の不足により工事の着工に遅れが生じたことと、米国、欧州において、円高の影響もあり海外での電動油圧工具の販売が減り、前年同期比で約15%の売上減となっていることがマイナス要因として挙げられる。

 リニューアル事業(各種構造を守る工法を開発、外壁補修関連、FRP関連製品等の製造・販売)の売上高は、11億73百万円(同7.4%増)、セグメント利益7百万円(前年同期△29百万円)と増収増益で黒字転換となった。売上に関しては、西日本での売上が10%減となったものの、ガソリンタンク補修用紫外線硬化型FRPシートの出荷が2倍増となったことに加え、太陽光関連製品の受注が本格化したことから、増収となった。また、外壁補修関連製品や二重床関連商材の売上も好調であった。

 センサー事業(車両の表示板、観測機向け等の電子プリント基板や各種測定器の製造・販売)の売上高は、2億69百万円(同12.7%減)、セグメント損失△31百万円(前年同期△2百万円)と減収減益で、赤字幅拡大。プラス要因としては、医療機器向けの電子基板関連製品が好調であった。しかし、アルコール測定器の需要が一巡したこともあり、売上が伸び悩んだ。今後、新商品の開発や、商品の入れ替えで対応する方針。

■昨年に引き続き、主力製品オールアンカーの売上の一部を被災地に寄付

 第2四半期は復興関連の売上は無かったものの、補修関連工事向けにあと施工アンカーの売上が伸びたことで、11月8日に第2四半期の上方修正を発表する程順調であった。通期連結業績予想については、上方修正を発表していないが、当初予想通りの売上高149億50百万円(前期比7.9%増)、営業利益6億60百万円(同13.2%増)、経常利益6億円(同2.9%増)、純利益3億50百万円(同22.8%増)と増収増益を見込んでいる。

 昨年に引き続き、主力製品であるオールアンカーの売上の一部を被災地に寄付する「がんばろう 日本!」復興キャンペーンを実施している。寄付金の目標金額は、1,000万円。

 更に、ファスニング事業では、新製品のクロスタイト(非構造用ワンサイドボルト)のテスト販売を行うと共に、高いせん断剛性を要求する機械器具、設備機器の固定に最適な「めねじアンカー」のディスクインサートと、太陽光発電の架台の基礎となるディー・アーススクリューの専用打込み機の販売を強化する。第2四半期の販売実績として、ディー・アーススクリューの売上高155万円、その他の関連製品927万円となっている。メガソーラークラスの受注を獲得していることから、下半期には更に売上の拡大が期待されている。

 耐震補強工法として、JRと共同特許を取っている一面補強工法は、第2四半期までに4件を受注し、売上高2,560万円となっている。大手鉄道事業者は当初1,000億円の予算を更に2,000億円増やし、5年かけて耐震補強対策(橋脚補強や地盤が弱い所の盛土、駅の天井落下防止策)を実施するとしていることから、一面補強工法のニーズは高まっている。

■中期経営計画「PLAN2014」で2014年まで200億円企業となることを目指す

 同社は、中期経営計画「PLAN2014」を発表し、安全・安心・環境をキーワードとして事業領域を拡大し、2014年までに200億円企業となることを目指している。

 「年間売上高5%増で、2014年に売上高200億円」、「新製品売上5%増で、2014年に34億円(サンコーテクノ単体)」、「2014年に営業利益率5%確保」と3つの目標を掲げている。

 年間売上高5%増については、11年3.7%増、12年1.7%増といずれも下回っている。しかし、今期は7.9%増を計画している。今期第2四半期の進捗率は45.6%となっていることから、ほぼ計画通りといえる。

 新製品売上5%増に関しては、11年136.7%増、12年7.3%増と計画を上回っている。今期の計画は19億50百万円(前期比80.2%増)を見込んでいる。今期第2四半期の進捗率は34.5%。

 営業利益率5%確保については、11年3.5%、12年4.2%となっている。今期の計画は4.4%であるが、第2四半期の実績は5.2%と上回っている。

 最後に東北の復興需要について、「12月を過ぎてから少しずつ出てくるのではないかと思っています。ただ、現状は、見積もりの段階で進んでいます。また、政局の行方にも左右されますので、政権が安定してこないとこの予算はなかなか下りてきません。しかし、民間の方は耐震に向けた取り組みが進んでいます。特に首都圏では着々と進んでいます。しかし公共については、耐震工事が遅れているのは現状であります」(洞下英人社長)と答えている。

 タイ工場の建設により、2〜3%の原価低減が実現されているうえに、国内向けだけでなく、インドネシア、ベトナム向けアンカーの販売が増えている。また、復興需要の売上が無くても、第2四半期で増収大幅増益を達成していることから、来期以降の売上高は更に拡大するものと予想される。

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