GMOクラウド:クラウドサービスの転換期の中でも利益を確保
■第3四半期連結業績は増収大幅増益
GMOクラウド<3788>(東マ)は13日、今期12年12月期第3四半期決算説明会を開催した。
代表取締役社長青山 満氏は、会社説明に続き、財務状況、事業概況について説明を行った。
第3四半期連結業績は、売上高70億31百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益7億33百万円(同35.2%増)、経常利益7億42百万円(同24.5%増)、純利益4億4百万円(同38.9%増)と増収大幅増益となった。
利益面で大幅増益となった要因は、既存サービス(ホスティング)からクラウドサービスへの転換期の中でも利益が出るようになったことと、セキュリティ事業での利益が拡大しているうえに、クラウドサービスへの大規模投資が完了したことで販管費が減少したことが挙げられる。
■セキュリティ事業は大幅増収増益
第3四半期(7月〜9月)のセグメント別の売上高、営業利益を見ると、ホスティングサービス16億53百万円(同0.3%減)、1億53百万円(同46.3%増)、セキュリティサービス5億46百万円(同31.1%増)、91百万円(同30.3倍)、ソリューションサービス1億71百万円(同7.8%増)、△4百万円(前年同期4百万円)とホスティング事業は減収であったものの大幅増益、セキュリティ事業は大幅増収増益、ソリューション事業は増収ながら減益となっている。
キャッシュフローは、営業キャッシュフロー9億55百万円、投資キャッシュフロー△5億46百万円、財務キャッシュフロー△3億24百万円となり、現金同等物は31億円(同3億7百万円増)。
第3四半期連結業績は、増収大幅増益で着地したことから順調に推移している。通期業績予想も、売上高95億2百万円(前期比5.2%増)、営業利益10億4百万円(同31.9%増)、経常利益10億7百万円(同26.8%増)、純利益5億87百万円(同55.7%増)と第3四半期に引き続き増収大幅増益と順調に推移するものと見込んでいる。
第3四半期の進捗率は、売上高74.0%、営業利益73.0%、経常利益74.0%、純利益69.0%とほぼ計画通りのペースで推移している。
■日本、米国、マレーシアの3カ所のデータセンターが連携できる環境が整う
セグメント別の売上高、営業利益の予想は、ホスティングサービス67億3百万円(同0%)、6億65百万円(同21.0%増)、セキュリティサービス21億17百万円(同14.3%増)、3億38百万円(同62.6%増)、ソリューションサービス7億96百万円(同31.9%増)、60百万円(同59百万円増)とホスティング事業は売上横ばいながら大幅増益、セキュリティ事業は増収大幅増益、ソリューション事業は大幅増収増益を見込んでいる。
事業別に詳しく見ると、第3四半期のホスティングサービス事業のトピックスとしては、クラウドサービスでは、8月にマレーシアロケーションを開設したことで、日本(東京)、米国(サンノゼ)、マレーシアの3カ所のデータセンターが自由に連携できる環境が整った。7月には、GMOクラウドPublicAPI(Application Program Interface)を公開した。さらに、「CEATEC JAPAN 2012」、「Cloud Days 2012」、「クラウドコンピューティングEXPO秋」と大型展示会へ積極的に出展することで、全国のエンジニアに同社のファンとなってもらうように取組んでいる。また、自社でもセミナーを開催しクラウドサービスへの啓蒙活動を行っている。
■国内パブリッククラウドサービス市場の規模は加速傾向 16年には11年の4.7倍
ホスティングサービスでは、競争力のあるサービスに統合するために、7月にGMOクラウドVPSのスペックアップを行った。9月には、GMOクラウド専用サーバを大幅にリニューアルしている。一方海外での販売の基盤づくりとして、9月にシンガポール子会社を設立して、APEC市場の開拓と販売強化を目指している。
IDC JAPANが12年11月に発表した国内パブリッククラウドサービス市場の規模は、12年941億円を見込んでいるが、16年には、11年の4.7倍の3027億円を予測していることからクラウドの成長はより加速傾向にあると見込まれている。
その様な状況の中で、同社のクラウドサービスの売上高は順調に拡大している。11年第2四半期より本格的にサービスを開始し、第3四半期には約20百万円、第4四半期には倍増している。今期の第1四半期は40百万円を超え、第2四半期は80百万円、第3四半期は約1億円まで急伸している。
同社のGMOクラウドPublicのサービス導入事例として、独立行政法人 防災科学技術研究所、メルマガ配信サービスのイグレックスが紹介された。同社のサービスを導入した結果、防災科学技術研究所ではコストが以前の5分の1までに引き下げることが出来ている。また、イグレックスでも大量メール配信時のサーバ負荷分散運用コストが半減するという好結果に繋がっている。
■セキュリティ事業 2012年上半期のルート認証局別純増数bPを獲得
一方、セキュリティ事業での第3四半期のトピックスとしては、SSLサーバ証明書国内市場におけるルート認証局のシェアbPを獲得したことと、2012年上半期のルート認証局別純増数bPを獲得したことが挙げられる。
事業拡大策として地理的拡大、販路拡大、利便性の高い商材の開発・提供を掲げている。地理的拡大では、8月にインドオフィスを開設した。また、第4四半期にはロシアオフィスを開設する予定である。
販路の拡大策に関しては、海外については、パートナーとの戦略的提携をすることで拡大していく方針。国内においては、日本企業との業務提携を進めていく。
利便性の高い商材の開発・提供については、SSLサーバ証明書を「FUSION CLOUD」に導入している。また、全ての電子証明書において後払い決済の利用が可能となっている。
セキュリティ事業を展開する子会社のグローバルサインの強みについては、グローバル展開していることが挙げられる。更に、営業、顧客の声を反映した商品を自社で開発している点である。例えば、ページ認証、ワンクリックSSL、現在特許を申請している第二世代ワンクリックSSL等は全部自社で開発している。サービスの大きな特長としては、証明書発行のスピード、低価格、ユーザビリティの3点がある。スピードに関しては、ワンクリックSSLを発行する際に、インストール作業を自動化していることから複雑な作業を行う必要がない。価格については、複数年の割引や、追加ライセンスの無償提供等が挙げられる。ユーザビリティに関しては、認証期間のカスタマイズが出来ることから利便性が高いといえる。
グローバル展開についてもっと詳しく述べると、日本、アメリカ、イギリス、ベルギー、中国、シンガポール、フィリピン、インドに拠点を持っている。また、先述しているように、ロシアにも今年の12月に拠点を開設する予定。
第3四半期末の販売代理店数は4,310社(前年比26.1%増)となっている。内訳は、日本の代理店数は738社、海外3,572社。同社では1万社までは支障なく増やせると見ている。
SSLサーバ証明書発行枚数は30,306枚(同24.1%増)。内訳は、国内7,915枚、海外22,391枚となっている。
■スピード翻訳サービス 翻訳ワンストップサービスが好調
ソリューションサービス事業は、WEB制作サービス、スピード翻訳サービスを行っている。
WEB制作サービスでは、ホームページの制作、また、スマートフォン、フェイスブックに合わせたホームページの制作を行っている他、アプリケーションの開発を行っている。
スピード翻訳サービスは、個人の翻訳家と企業をインターネット上で結んで、翻訳の場を提供するサービスを行っている。最近では、法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」との業務提携が開始されている。また、ジョインテックスカンパニーとの協業による翻訳ワンストップサービスが好調である。主に大口の法人、医療機関、大学、自治体といったところに代理店を通じて販路を拡大していることから対前四半期比18.7%増となっている。更に、希望の翻訳料を設定して、オークション方式で翻訳家が入札するオークション翻訳も好調である。この様に各ポータルサイトの提携、代理店販売により知名度は向上していることから会員数は前年比31.7%増と順調に伸びている。第3四半期末の会員数は、17,570件。内訳は、個人15,342人、法人・大学2,228件となっている。
以上のように、ホスティング事業では、クラウドが順調に伸びているうえに、セキュリティ事業でも、代理店数やSSLサーバ証明書発行枚数が順調に拡大していることからいよいよ収穫期に入り、今後も大幅増益が期待できる状況となってきている。更に、ソリューション事業も大幅増収増益が見込めることから、同社の業績は急拡大するものと予想される。
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