インテージ:第2四半期連結業績は増収増益
■第2四半期の売上高は過去最高を記録
市場調査のインテージ<4326>(東1)の2013年3月期第2四半期連結業績は、売上高181億48百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益10億56百万円(同21.0%増)、経常利益9億96百万円(同19.0%増)、純利益4億99百万円(同15.4%増)と増収増益。
16日、同社は第2四半期の決算説明会を開催した。第2四半期決算の状況、第2四半期の進捗と今後の課題、通期業績予想の見通しの順で説明が行われた。
第2四半期の売上高は、過去最高を記録している。しかし、利益面については、11年第2四半期を上回ったものの、10年第2四半期の数値を下回る結果となった。
総資産は278億95百万円(前期比1億65百万円増)となっている。内訳は、流動資産161億23百万円(同5億32百万円増)、固定資産117億72百万円(同3億66百万円減)。流動資産の増加要因は、現金及び預金と仕掛品の増加による。固定資産の減少要因は、主に投資有価証券の減少によるもの。
負債の合計は、133億52百万円(同1億39百万円増)。内訳は、流動負債102億42百万円(同1億86百万円増)、固定負債31億10百万円(同46百万円減)となっている。流動負債の増加要因は、主に短期借入金、賞与引当金の増加による。固定負債が減少したのは、主に長期借入金の減少。純資産は145億42百万円(同25百万円増)となっている。その結果、自己資本比率は52.1%とほぼ前期並みである。
■市場調査・コンサルティングのパネル調査は引き続き堅調
セグメント別の売上高は、市場調査・コンサルティング127億53百万円(前年同期比9.0%増)、システムソリューション21億60百万円(同2.0%減)、医薬品開発支援32億35百万円(同19.9%増)となっている。主力の市場調査・コンサルティングの売上の内訳は、パネル調査77億40百万円(同4.7%増)、カスタムリサーチ50億円(同16.5%増)と共に増収となった。
市場調査・コンサルティングのパネル調査では、SRI(全国小売店パネル調査)、SCI−personal(全国個人消費者パネル調査)、SLI(全国女性消費者パネル調査)は引き続き堅調であった。顧客のテーマに絞った調査であるカスタムリサーチは、業界別のSBU(戦略事業単位)の強化・推進が更に進み、従来型調査・インターネット調査ともに順調に推移した。
システムソリューション事業は、企業のシステム投資は穏やかな回復基調にあるものの、依然低調な水準で推移したことで減収となった。しかし、同社では、システム単体での利益確保を目指しているわけではなく、他のセグメントと組み合わせることで事業展開している。
医薬品開発支援は、1月に経営体制を入れ替え、業務改革を実施した結果、モニタリング業務、データマネジメント・解析業務共に受注案件が増加・回復して増収となった。
セグメント別の営業利益を見ると、市場調査・コンサルティングは9億28百万円(前年同期比12.8%増)、システムソリューション事業は△12百万円、医薬品開発支援1億40百万円(同185.5%増)であった。
市場調査・コンサルティングは増収であったが、パネル調査では、売上が堅調に推移したものの、SCI−personalへの切り替え費用、次期提供システムの開発投資により、経費が増加した。カスタムリサーチについては、従来型調査、インターネット調査ともに増収効果により、利益も増加した。
■2四半期の進捗と今後の課題
第10次中期経営計画の進捗状況については、グループの基本方針である「Next50へのテイクオフ、危機を乗り越え、成長軌道への離陸を果たそう」という目標の下、グループ重点課題として、「事業の持続的成長戦略の推進」、「グローバル化の推進」、「THE INTAGE WAYの定着と深化」、自立したPro人財の育成」、「危機管理の徹底とグループ団結力の強化」の5項目を掲げている。
また、12年度のインテージ基本方針を、「大きな飛躍に向けた新領域への挑戦」とし、成長に向けたキーワードに、モバイル、グローバル、ヘルスケアを掲げ、業界別戦略の徹底、モバイルやクロスメディアなど新規領域への挑戦、アジアにおける成長モデルの構築、ヘルスケア関連領域の拡大に取組むことが成長戦略とのポイントとしている。
業界別の進捗状況は、FMCG(Fast Moving Consumer Goodsの略で、日用品のこと)は、顧客への「棲みこみ」が一層進捗し、パネル調査・カスタムリサーチ共に売上は増加している。次世代提供システムi−Canvasへの着実な切り替えが進んでいる状況。
DCG(Durable Consumer Goodsの略で、耐久消費財のこと)サービスについては、従来の旅行・自動車・通信業界に加え、電機業界への深耕が進んでいる。出版業界では、出版POSサービス顧客が拡大し、業界プラットフォームとしての期待が高まっていることから、出版社との契約が100社を超えている。
ヘルスケアに関しては、子会社のアスクレップは新体制が順調に滑り出し、業績は回復基調にある。一方、医療情報総合研究所の買収により、医薬品開発段階から処方実態までの把握が可能となり、従来の医師・患者情報とMR(医薬品メーカーの医薬情報担当者)活動状況を合わせたトータルソリューションの提供が可能となっている。
■シングルソースパネルでは一人のモニターから4つの接触情報を集める
新規領域への挑戦として、同社が取り組んでいるのが、シングルソースパネルである。SCI−personalを活用して、一人のモニターから4つの接触情報を集める取り組みである。まず、日用品の購入履歴を携帯のスキャナーを使って収集している。次に、パソコン、スマートフォンによるインターネットの接触状況を収集する。更に、TV(地上波)視聴状況を集める。また、その他のメディア接触状況や意識などは通常のアンケートで捕捉する。この4つの関連するデータ収集を行い、情報接触と消費者行動の関連性を解明できる国内唯一のデータプラットフォームを作る取り組みを開始している。
もう一つは、ドコモと協業した、ドコモ・インサイトマーケティングである。スマートフォン時代の到来による生活者起点によるインサイトの提供を目指している。大規模なモニターによりフィールド基盤を整備することで、カバレッジが拡大し、生活者との共創による、タイムリーなデータ、理解が深まるデータを集めることを目的としている。携帯でその場にいないと解らない情報をリアルタイムで知る仕組みをスタートさせている。
■ニューロマーケティング分野で日立製作所と協業
また、新しい調査手法への挑戦としては、ニューロマーケティング分野で日立製作所と協業し、従来のリサーチに新しい手法を加えたハイブリッド提供を目指している。言葉ではなく、その時、脳はどのように反応したのか、脳のどの部位が反応したのかで、何が刺激されたのかを知ることが出来るウェアラブル光トポグラフィと、視聴時の視線を計測する機器であるアイトラッカー、更に、従来のアンケートやインタビューを組み合わせる調査手法である。
また、コンサル部門では、日本版顧客満足度指数(JCSI)に取組んでいる。業界を超えて指標を見ることが可能なことから、企業では、経営計画に経営目標としてJCSIを採用しているところもある。例えば、ある業界の顧客満足度の平均的な指標と個別の企業の指標を比較することで、どの位置にいるのかが明確となる。ただし、顧客満足度調査の指標で何位になったかということで満足するのではなく、経営がマーケティング施策に活かしていくための指標として捉え、コンサルに活かしていこうということで取組んでいる。既にJALは、日本版顧客満足度指数を取り入れて、経営に反映するように取り組んでいる。
海外展開については、マーケティングリサーチでは、6月に広州事務所を開設、8月にINTAGE INDIAの設立、10月にシンガポール事務所を設立している。医薬品開発支援については、6月にASKLEP TAIWANを設立、11月中にASKLEP KOREAを設立する予定。
■医療情報総合研究所が8月にグループ入り
ヘルスケアに関しては、医療情報総合研究所が8月にグループ入りしたことで、医療情報のトータルソリューションの提供に近づいている。同社では、競合との差別化、優位性を構築し、更なる成長を目指している。また、医薬品開発支援の海外展開については、アスクレップは中国、台湾、韓国に拠点を展開し、ネットワークを強化してアジアにおける国際共同治験対応が可能な体制を構築することが今後の成長にとって不可欠と捉えている。
このような事業展開を進めている中で、同社はマーケティングリサーチ会社の2011年度売上ランキングにおいて世界第8位となっている。
更に、グループ全体の戦略的経営を推進するには持株会社制へ移行することがふさわしいということで、来年の10月1日より、持株会社制へ移行することを発表している。
以上のことを実行することで、今期連結業績予想は、売上高402億25百万円(前期比9.7%増)、営業利益31億30百万円(同8.5%増)、経常利益30億88百万円(同8.0%増)、純利益17億56百万円(同32.4%増)と増収増益を見込んでいる。
また、中期計画では、14年3月期連結売上高442億80百万円(対前期比10.1%増)、営業利益39億70百万円(同26.8%増)、15年3月期売上高483億20百万円(同9.1%増)、営業利益47億10百万円(同18.6%増)を予想している。
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