2012年11月21日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

生化学工業:第2四半期連結業績は当初予想を上回る


■6日に通期連結業績予想の上方修正を発表

 生化学工業<4548>(東1)は9日、今期13年3月期第2四半期決算説明会を開催した。

 代表取締役社長水谷建氏は、第2四半期の概況、通期業績予想等について説明を行った。

 第2四半期連結業績は、売上高132億39百万円(前年同期比4.0%減)、営業利益13億24百万円(同58.8%減)、経常利益17億81百万円(同44.1%減)、純利益12億66百万円(同40.0%減)と減収大幅減益となったが、当初予想を上回ったことで、6日に通期連結業績予想の上方修正を発表している。

 売上高に関しては、国内・海外アルツの販売数量が増加したものの、薬価引き下げの影響や研究用試薬事業の廃止により減収となった。

 セグメント別売上高は、医薬品事業114億53百万円(同1.6%減)であった。内訳は、国内医薬品90億32百万円(同3.2%減)、海外医薬品17億83百万円(同8.1%増)、医薬品原体6億36百万円(同3.4%減)となっている。LAL事業は、研究用試薬事業の廃止により17億85百万円(同17.2%減)と大幅減収。その結果、国内外の売上比率は、国内77.7%(同0.3%減)、海外22.3%(同0.3%増)と海外の売上比率が高まっている。

 売上原価は、国内・海外アルツの数量増があったものの、研究用試薬事業の廃止や高萩工場第4製剤棟の減価償却費が減少したことで、前年同期比98百万円の減少となった。一方、販管費は、研究開発費がSI−614等の各開発テーマの進捗に伴い34億12百万円(同9億89百万円増)となったことに加え、Gel−One訴訟費用の増加により、前年同期比14億30百万円増となった。

 その結果、利益については、受取ロイヤリティーを計上したが、大幅な減益となった。

 しかし、第2四半期連結業績は当初の計画を上回って着地したことで、今期通期連結業績予想を上方修正している。

■今通期のアルツ市場は前期比5.5%成長、同社のアルツは8.0%成長を見込む

 売上高は当初予想を50百万円上回る267億50百万円(前期比1.2%減)、営業利益は1億円上回る27億円(同41.5%減)、経常利益は4億50百万円上回る35億50百万円(同25.6%減)、純利益は5億円上回る27億円(同17.5%減)を見込む。

 売上高については、国内医薬品は、オペガンの減少で、当初計画比約50百万円の減少を見込んでいる。海外医薬品は、円高の影響を受けるものの、Gel−Oneの出荷に加え、中国向けの数量増により約3億円増を見込んでいる。また、医薬品原体で約1億50百万円減、LAL事業で約50百万円減を予想している。しかし全体的には小幅ながら計画を上回ると見込んでいる。

  販管費は、Gel−Oneの訴訟費用等の減少により約1億円下振れると見ている。そのため、営業利益は当初予想を上回ることに加え、受取ロイヤリティーが発生することや、高萩工場の産業再生特区指定による優遇税制により最終利益は大幅な上方修正を見込んでいる。

 高齢者人口の増加や疾患啓発活動の継続実施により、第2四半期の国内のアルツ市場は前年同期比3.1%増となっている。その様な状況の中で、同社のアルツは、先発品としてのブランド力の向上に努めていることに加え、プラスチック容器の投入などの評価向上により、前年同期比で5.1%増となっている。今期通期では、アルツ市場は前期比5.5%の成長、同社のアルツは同8.0%の成長を見込んでいる。

■中国では、日中関係悪化にもかかわらず、28.0%増と大幅に伸びる

 国内の市場拡大のための取組みとしては、科研製薬と共同で疾患啓発ウェブサイト「ひざ科学研究所」を新設した。同サイトでひざの痛みと対処法に関するアンケート調査を実施し、この調査結果は81のメディアに取り上げられた。また、9月にはTV東京系で、ひざの痛みの原因や予防・治療方法を紹介する、「ひざの公開診察室」という番組を放映した。

 海外での医薬品の販売状況は、第2四半期の売上高は前年同期比8.1%増となっている。内訳は、米国でのSupartzの現地販売は、前年同期比0.9%増、米国への輸出は5.6%増。その他の地域は13.3%増と前期に引き続き拡大している。特に中国に関しては、日中関係悪化にもかかわらず、現地販売が好調を維持し、28.0%増と大幅に伸びている。

 海外の通期売上予想は、前期比11.3%増を見込んでいる。米国のSupartzの販売に関しては、テレビDTC等による拡販で前期並みと見ているが、輸出売上は出荷時期のずれ込みにより減少を予想している。一方、Gel−Oneの訴訟に勝訴したことで、下期からの出荷を新たに織り込んでいる。現在、本格的な販売に向けて準備していることから、今後の新たな成長ドライバーとなることを期待している。その他の地域は、前期比21.2%増を見込んでいる。

■Gel−Oneの訴訟に勝訴したことで、米国での売上拡大に注目が集まる

 米国におけるヒアルロン酸製剤市場の状況に関しては、現在の変形膝関節症の患者数は、潜在患者数1億25百万人、顕在患者数15百万人と推定している。顕在患者のうち、ヒアルロン酸製剤の使用比率は1割弱であることから、今後、大きな拡大余地が残されている。マーケットサイズは、2008年480ミリオンUS$であったが、2009年の単回投与製品の発売もあり、年率13%で拡大し、2012年には790ミリオンUS$となると推計している。

 その様な状況で、Gel−Oneの訴訟に勝訴したことで、単回投与製品であるGel−Oneの米国での売上拡大に注目が集まっている。Gel−Oneは、独自の技術で創製した架橋ヒアルロン酸が主成分で、高い粘弾性により関節内の潤滑作用を補助する特性がある。また、3mlという少量を1回投与することで効果を示すことから、患者の負担軽減にも寄与すると見られている。販売に関しては、米国人工関節領域においてトップの営業力を持つZimmer社が担当することから、市場シェアの獲得と新規開拓が期待できる。今期は本格販売の準備段階であるが、来期以降、米国市場でのシェア拡大が予想され、海外での売上加速が進むものと期待される。

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