日本エンタープライズ:第2四半期業績好調で、今期通期連結予想を上方修正
■コンテンツサービス事業で有料サービスの会員獲得が順調
モバイルソリューションの日本エンタープライズ<4829>(東2)は10日、今期13年5月期第2四半期連結業績を発表した。
売上高19億7百万円(前年同期比53.3%増)、営業利益1億89百万円(同35.4%増)、経常利益1億97百万円(同33.2%増)、純利益1億21百万円(同39.0%増)と大幅増収増益。
第2四半期業績が好調であったことから、同日、今期通期連結業績予想の上方修正の発表となった。売上高は前回予想を5億30百万円上回る41億20百万円(前期比47.6%増)、営業利益は65百万円上回る3億90百万円(同28.2%増)、経常利益は65百万円上回る4億円(同25.8%増)、純利益は25百万円上回る2億25百万円(同32.3%増)と大幅増収増益を見込む。
上方修正の要因として、コンテンツサービス事業で有料サービスの会員獲得が順調であることと、ソリューション事業で携帯電話販売会社との協業による成功報酬型コンテンツ販売(リアルアフェリエイト)の広告売上が増加していることを挙げている。
■auスマートパス向けのコンテンツを拡充すると共に、Yahoo!プレミアム向けにコンテンツの提供を開始
11日に第2四半期決算説明会が開催され、概況について説明が行われた。
第2四半期のセグメント別のハイライトは、コンテンツサービス事業では、auスマートパス向けのコンテンツを拡充すると共に、Yahoo!プレミアム向けにコンテンツの提供を開始し、コンテンツの拡販に努めた。ソーシャルゲームでは、クロノ・トリニティというタイトルをグリープラットフォーム向けに配信開始し、ソーシャルゲームに本格的に進出した。また、100万ダウンロードを突破したAndroid向けアプリ「女性のリズム手帳」のiOS版の提供を開始する等、ネイティブアプリの強化に努めた。更に、スマートフォン向け月額課金会員の獲得に注力した。
ソリューション事業では、スマートフォン用のアプリ、サイトの受注が増加した。また、携帯電話販売会社との協業を強化し、成功報酬型コンテンツ販売(リアルアフェリエイト)の広告売上が増加した。更に、コスト削減のソリューションとして、新規事業のリバースオークションを開始した。一方で、東海・関西地区の営業強化のために、10月に名古屋オフィスを開設した。
海外事業については、中国でチャイナテレコムの携帯電話販売店の業務を開始した。12月1日より東方路店の運営を始めている。今後は、2月に古北店をオープンする予定。以上が第2四半期までの主なハイライトであった。
■成功報酬型コンテンツ販売による広告売上が拡大した他、スマートフォン向けソリューションとコンテンツ開発が好調
第2四半期の売上高は前年同期比53.3%の増収と大幅な伸びとなっている。四半期毎の売上高を比較すると、今期の第1四半期(6月から8月)の売上高は9億2百万円(前年同期比43.0%増)、第2四半期(9月から11月)10億4百万円(同63.9%増)と急伸している。
コンテンツサービス事業の売上高9億96百万円(同58.8%増)をジャンル別に分けると、海外19百万円(同55.5%減)、その他(健康情報他)68百万円(同15.4%増)、ゲーム14百万円(同45.3%減)、電子書籍62百万円(同23.9%増)、アライアンス(携帯電話販売会社と共同展開する月額課金モデル)1億5百万円(同6746.9%増)、メール・カスタム1億96百万円(同0.5%減)、音楽2億25百万円(同8.9%減)、交通情報3億3百万円(今期より)となっている。コンテンツサービス事業の大幅増収の主な要因は、アライアンスの売上拡大と、交通情報の売上が今期より加わったことが挙げられる。
ソリューション事業の売上高9億10百万円(同47.7%増)をカテゴリー別に分けると、海外2百万円(同79.8%減)、広告3億52百万円(同157.7%増)、物販9百万円(同79.1%減)、MSP(マネージメント・サービス・プロバイダー)38百万円(同18.9%減)、ソリューションコンテンツ1億87百万円(同63.5%増)、ソリューション3億21百万円(同22.5%増)。携帯電話販売会社との協業による成功報酬型コンテンツ販売による広告売上が拡大したことの他、スマートフォン向けのソリューションとコンテンツ開発が好調であったことが、大幅増収の要因。
セグメント別の利益を見ると、コンテンツサービス事業2億75百万円(同16.0%増)、ソリューション事業1億84百万円(同14.9%増)であった。利益の伸びが売上高の伸びに比較して少なかった要因は、セグメント利益率が両事業共に低下したことによる。コンテンツサービス事業は前年同期の37.8%から今期は27.6%と10.2ポイント下げた。コンテンツサービス事業のアライアンスの売上が急増したが、アライアンス型のコンテンツの利益率が低いことがその原因といえる。ソリューション事業も26.1%から20.3%と5.8ポイント下げた。主な理由は、従来のソリューション事業より利益率の低い広告売上の他、今期より連結計上した潟tォー・クオリア(開発会社)の利益率が低いことによる。両事業セグメントに帰属しない管理部門の一般管理費は前年同期2億57百万円、今期2億69百万円とほぼ前期並みであった。
以上のように、前期に比較して、利益率は低下したが、大幅な増収効果により、増益となった。
■フィーチャーフォン会員の減少分をスマートフォン会員の新規獲得で吸収
引き続き、国内事業と海外事業の説明が行われた。
国内事業のコンテンツサービス事業では、店頭アフィリエイト、WEB広告、キャリアサイト連動により、フィーチャーフォン会員の減少分をスマートフォン会員の新規獲得で吸収できたことから月額課金会員が増加している。一方で、移動体通信事業者の定額制コンテンツ配信サービスである「auスマートパス」、「YAHOO!JAPANプレミアム」にコンテンツの提供を行い、既存コンテンツの有効活用により大幅な増収となった。特にauスマートパスに提供している「うた&メロ取り放題」は人気ランキング1位を継続中である。更に来期の収益基盤を構築するための布石として、無料アプリのマネタイズ化を図る方針。例えば「女性のリズム手帳」を現在無料で配信しているが、100万ダウンロードを突破する人気を獲得していることから、来期へ向けての有料化も検討している。更に、IP電話連携サービスの展開、SNSアプリ、Webコンテンツのアプリ化等の開発を進めている。また、NTTドコモのコンテンツサービス「dゲーム」への新規参入する予定である。更に、アプリツールの販売も進めている。
■スマートフォンの普及と共に店頭アフィリエイトが拡大、アライアンス型月額課金も急激に売上を伸ばす
国内のソリューション事業については、スマートフォン向けのアプリ・サイトを開発し、クライアントの販売促進、売上拡大、業務効率改善、コスト削減、顧客満足度向上を多角的に支援している。また、新事業として、企業のコスト削減を実現するサービスとして「リバースオークション」システムをASP型で提供を開始している。このサービスは、物品を購入する際に、インターネットを用いて、複数の企業に見積もりを出してもらい、一番安い見積もりを入札するシステム。このサービスを活用することで、調達コストの削減、業務コストの削減、公平・透明化の確保、調達業務の見える化といったメリットを得ることが出来る。これまでのオークションでは、価格が上昇するものであるが、このサービスでは価格が下落することからリバースオークションと名付けている。既に、経済産業省、東北大学、ドクターシーラボをはじめ約30社に採用されている。更に、スマートフォンの普及と共に店頭アフィリエイト(成功報酬型コンテンツ販売)が拡大している。同社はコンテンツプロバイダからのコンテンツの広告費用を頂き、その中から携帯販売会社にコンテンツの販売手数料を支払う。一方、コンテンツの使用料として、コンテンツプロバイダが利用者に課金する仕組みとなっている。今期は広告の売上が急拡大している。今後も売上を伸ばすために、コンテンツの仕入れ先であるコンテンツプロバイダの開拓と携帯電話販売会社以外の販売先の開拓を進めている。もう一つ急激に売上を伸ばしているのが、アライアンス型月額課金である。携帯販売会社と協業して月額の協業サイトを販売している。既に、コマースサイトの「PTモール」、福利厚生サービスの「PTモール プレミアム」、電子書籍の「BOOKSMART」を中心に着実に月額課金会員を獲得している。1月には音楽サイト「SOUNDSMART」を開始している。このビジネスモデルは着実に会員増が見込めるモデルであることから今後のサービスの拡大が期待できる。
■「九鼎記」を漫画化して中国移動向けに配信したところ、大ヒット
海外事業に関しては、「モバイルコンテンツ」サービス展開に注力してきたが、中でも電子コミックの配信については、やっとモバイルコンテンツ市場が形成されつつある時期に、中国の人気小説「九鼎記(きゅうけんき)」を漫画化して中国移動向けに配信したところ、大ヒットとなっていることから、ようやく拡大する時期を迎えている。ツール・ゲームの配信拡大については、中国電信、中国聯通、中国移動といった3つのキャリアのそれぞれのゲーム配信ツールのアプリケーションマーケットに同社の専用コーナーを設置することが出来て、そこへの配信ということでダウンロード数を増やしている状況にある。まだまだ無料系のコンテンツのダウンロード数が多いが、ダウンロード数、アクセス数はかなり増加している。今後、どのようにして有料化を推進していくかという段階。更に、継続収入型のソリューション案件としては、中国の教育会社向けに、タブレットを活用した教育アプリ開発を受注している。更に、12月1日より、中国電信の携帯ショップの旗艦店である「東方路店」の運営を受託した。オープン後1カ月経つが、中国電信の管轄する上海エリアでは12月の売上高はNO.1であったことから、同社の店舗運営が認められている。同社は、この店舗で、携帯電話を販売するだけでなく、コンテンツ販売も将来的には進めていく方針。今後の店舗としては、2月に古北店をオープンする予定。
通期連結業績を上方修正しているように、業績は順調に推移している。交通情報のATISが通期で売り上げに貢献することに加え、アライアンス型月額課金、店頭アフィリエイトの広告、スマートフォン向けソリューションコンテンツ・ソリューションが好調であることから今後の事業展開は明るいものと予想される。
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