2013年05月10日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

JFEシステムズ:売上高に関しては、リーマン・ショック以前とほぼ同額まで回復


■鉄鋼事業の減収を外販事業でカバーする戦略が奏功

 JFEシステムズ<4832>(東2)が属する情報サービス業界の売上高は、08年9月15日に発生したリーマン・ショックの影響で、企業の情報設備投資が抑制され、11年9月まで対前年同月比でほぼマイナスとなっていたが、同年10月からプラスに転じてきたことで、2012年度の回復が期待されていた。しかし、力強い回復とはいえず、12年の秋口から再びマイナス成長となる月もあり、本格的な需要拡大には至らなかった。

 同社ではリーマン・ショック以降、主力の鉄鋼向けの要員を外販へシフトし、外販向け上流人材の育成に活用し、鉄鋼事業の減収を外販事業でカバーする戦略をとっている。

 その成果もあり、4月25日に発表された前13年3月期連結業績は、売上高337億36百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益9億23百万円(同5.0%増)、経常利益9億26百万円(同10.1%増)、純利益5億3百万円(同42.9%増)と増収増益を達成している。売上高に関しては、リーマン・ショック以前の08年3月期とほぼ同額まで回復した。

 売上高337億円の内訳は、鉄鋼向け事業176億円(前年同期179億円)、外販事業120億円(同109億円)、子会社41億円(同39億円)であった。鉄鋼向けの売上高は減少したが、外販事業の製造流通顧客向けSIの売上高が13億40百万円増収となったことで全体でも増収となった。

 利益面に関しては鉄鋼向け事業の売上減少、利益率低下による収益悪化を外販事業及び子会社の収益向上でカバーしたことから全体では増益となった。

これまでのところ、鉄鋼事業の減収を外販事業でカバーする戦略は奏功し、新しい顧客を開拓すると共に売上の拡大が実現しているといえる。

■今期14年3月期連結業績予想は増収増益を見込む

 今期14年3月期連結業績予想は、売上高341億円(前期比1.1%増)、営業利益10億20百万円(同10.6%増)、経常利益10億20百万円(同10.1%増)、純利益5億20百万円(同3.3%増)と増収増益を見込んでいる。

 売上高に関しては、鉄鋼事業で前期比40百万円増、外販事業で3億10百万円増、子会社10百万円増を見込んでいる。

 利益面については、前期の経常利益9億26百万円をベースにすると、鉄鋼案件の構成変化等で利益率の低下により90百万円減、鉄鋼向け新規テーマ発掘活動費として1億円の投資、一方で鉄鋼事業の収益向上により1億2百万円増、全社戦略推進のため90百万円投資、外販事業の収益向上により2億72百万円増を見込んでおり、結果的に前期比94百万円の経常増益を見込んでいる。

■鉄鋼システム、SI、ERP、プロダクト事業を核に新規顧客の開拓、既存顧客の受注拡大を目指す

 今後の収益拡大のための現在の取組としては、鉄鋼システム、SI、ERP、プロダクト事業を核に新規顧客の開拓、既存顧客の受注拡大を目指している。
 製造流通ビジネスでは、自動車業界を中心に、既存重点顧客の領域拡大を図るために、製造業に精通したコンサル、PM(プロジェクトマネージャー)を重点的に配置し顧客の信頼を高めたり、或いはグローバル展開を進める企業のニーズに対応したソリューションを提案したりすることで、事業を強化している。

 これまでの自動車向けの売上高は、10年10億円、11年16億円、12年22億円と順調に拡大している。今期は24億円を目指している。製造流通・新規顧客開拓の売上高の推移は、10年23億円、11年25億円、12年32億円、とこちらも順調。今期は34億円を計画している。

 プロダクト事業では、企業の電子帳簿データ活用ニーズが高まっていて、同社が開発している帳簿保存ソリューション「DataDelivery(データデリバリー)」を本格的に販売を開始している。今後は、新たな適用分野拡大に向けた施策を実行する計画。

 食品会社向けのソリューションのニーズも旺盛である。同社が開発した品質管理トータルソリューション「MerQurius(メルクリウス)」のニーズも高まっている。

 「MerQurius」は、食品品質管理システム「Mercrius(メルクリウス)」からスタートして、商品開発の製法管理システム「Quebel(キューベル)」を展開し、その後「Mercrius」と「Quebel」を統合して「MerQurius」として展開。さらに原料メーカーと食品メーカーが原料情報をネットでやり取りできるサービスとして「MerQuriusネットサービス」を12年12月よりサービスを開始した。

 これまでの食品ソリューションの売上推移は、10年6.6億円、11年7.4億円、12年9億円と順調に推移している。今期は10億円を計画している。

 また、食品品質管理システム「Mercrius」を発展させて、2012年より販売を開始したWebデータベースシステム「Wulcanus(ウルカヌス)」の需要も高まっている。このシステムを導入することで、例えば従来台帳で管理していたクレーム情報、商品情報、設備情報がWeb経由での閲覧・更新が可能となり、業務のスピード化・効率化が実現でき、しかもセキュリティもアップする。

 以上のような取り組みを行い、鉄鋼以外の分野での事業展開も活発化することで事業の拡大を計画している。

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