2012年05月22日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

日本ライフライン:好調な自社製品が業績を牽引


■18日、12年3月期決算説明会を開催

日本ライフラインのHP 日本ライフライン<7575>(JQS)は18日、12年3月期決算説明会を開催した。

 12年3月期連結業績は、売上高231億40百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益11億47百万円(同17.9%増)、経常利益11億98百万円(同10.7%増)、純利益7億20百万円(同6.8%減)となった。

 売上高に関しては、リズムディバイスにおけるICD関連商品の販売が当初見込みを下回って進捗したものの、自社製品をはじめとして、全般的に前年を上回って推移したことにより増収となった。

 品目別の売上高は、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)等のリズムディバイスは104億78百万円(同0.5%減)、自社製品のEP/アブレーションは51億22百万円(同10.6%増)、人工血管、人工心臓弁等の外科関連は24億20百万円(同1.4%増)、バルーンカテーテル、ガイドワイヤー等のインターベンションは36億47百万円(同11.0%増)、その他(血液浄化関連商品)は14億72百万円(同3.3%減)となっている。

 利益面においては、心臓ペースメーカリードにおいて、自社ブランド品「J−Line(ジェイ・ライン)」への切り替えが進んだことに加え、収益性の高い自社製品の売上高構成比が増加したことで売上総利益率は2.4ポイント改善した。

 売上総利益率の改善に伴い、営業利益、経常利益共に2ケタの増益となった。一方で最終利益については、昨年12月のAGA Medical社商品の独占販売契約終了に伴う薬事承認権譲渡益等の特別利益が、前期に比べ減少したこと、さらに、法人税率引き下げに伴う繰延税金資産の取り崩しをおこなったことにより減益となった。

■保険償還価格引き下げの影響から、今期は減収減益を見込む

 今年4月に行なわれた保険償還価格の改定により、同社の取り扱う商品全般で価格が引き下げられている。主力商品の一つである心臓ペースメーカの主要モデルの引き下げが13.8%となる等、大幅な引き下げが実施されており、今期の経営成績は厳しくなるものと見込んでいる。

 同社グループとしては、こうした状況に対し、既存商品の市場シェア拡大に取り組み、販売数量の増加により価格下落の影響を吸収できるよう努めるとともに、新商品の市場導入により売上高の増加を図っていく。下半期には、自社製品である心腔内除細動システム「SHOCK AT(ショックAT)」の発売を予定している。同製品による心腔内での除細動は、低侵襲で安全性の高い治療方法であることから、市場における潜在的なニーズが見込まれている。また、現時点では同社のオンリーワン製品あることからも、業績への貢献が期待されている。さらに、人工心臓弁についても、発売が遅れていた生体弁の市場導入を予定しており、機械弁や人工弁輪とあわせて様々なニーズに応える体制が整うことから、市場への早期浸透に向け積極的な営業活動を展開する。

 利益面に関しては、保険償還価格の引き下げに加え、引下げ前の在庫の影響から売上総利益率が0.7ポイント低下すると見ている。

 以上により、13年3月期連結業績予想は、売上高230億96百万円(前期比0.2%減)、営業利益9億23百万円(同19.6%減)、経常利益9億20百万円(同23.2%減)、純利益5億26百万円(同26.9%減)と減収減益を見込む。

■主要商品の見通しについて

 決算説明会の後半では、代表取締役社長の鈴木啓介氏から主要製品の見通しについて説明が行われた。

 リズムディバイスの今期の見通しにおいては、主力モデルの保険償還価格が13.8%引き下げられたペースメーカの影響が大きく、市場の拡大が続くICD関連において、新商品を発売したCRT−D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)の拡販に注力するものの、リズムディバイス全体としての売上高は、約5%の減少を見込む。

 EP/アブレーションについては、8月にオンリーワン製品となる心腔内除細動システムの発売を予定している。同製品が用いられる心房細動のアブレーション治療は、症例数の増加が続いていることから、今後業績への寄与を期待しているという。また、アブレーションカテーテルについて、現行モデルにはイリゲーション機能が無く、シェアが減少しているが、イリゲーション機能付きの製品の開発を進めており、早期上市によりシェアの再拡大を図る。一方、アジア地域への輸出については、台湾への輸出を開始しているが、中国については既に承認取得済みであるものの、入札が行われていないため想定よりも進捗が遅れている。

 外科関連については、人工弁関連市場が、機械弁から生体弁、弁形成術へ移行しているなかで、当社としては機械弁のみを扱ってきたが、今年2月に人工弁輪「MEMO 3D」を発売した。さらに第3四半期に予定している生体弁「Mitroflow」の発売により、機械弁、生体弁および人工弁輪と、心臓弁膜症の主要製品3つが揃うことになり、総合的なサポートが可能となるとした。「Mitroflow」は世界各国で22年に及ぶ臨床実績があり、発売後、早期に市場に浸透させていくという。

 インターベンションについては、バルーンカテーテルの保険償還価格が下落していることからシェア拡大に努め、販売数量の増加で売上高の減少を補う。また、ガイドワイヤーでは、従来から定評のある高度狭窄部位用の製品に加え、より市場規模の大きな一般用の新製品である「アスリート・スパイダー」、「アスリート・ジョーカー」により、シェアの増大を図るとともに、末梢用の製品も導入していくことで、自社製品であるガイドワイヤーの販売規模拡大につなげる。

 また、前期に販売を終了した、AGA社製の構造的心疾患治療器具については、次期製品としてオクルテック社の製品を17年3月期を目指し導入するとした。

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