2013年12月4日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

うかい:第2四半期は主力の飲食業が順調に拡大、客数、単価ともに前期を上回る


■借入金の減少、リファイナンスによる支払利息の減少により大幅増益を確保

 和食・洋食の高級レストランを多店舗展開するうかい<7621>(JQS)は、11月29日に今期第2四半期の決算説明会を開催した。

 決算概要、通期業績予想、営業施策と今後の展望の順で説明が行われた。

 第2四半期累計期間中のトピックスとしては、6月のFIHリージェントグループ「高雄晶英酒店」内のレストランのコンサルティング契約締結、7月の洋菓子店「アトリエうかい」のオープン、自己株式の取得、9月の「銀座kappou ukai(仮称)」の新規出店の決定、同社初の中間配当の実施等が挙げられる。

 特に、7月の自己株式の取得については、創業50周年を来年に控え、次の半世紀を視野に入れた抜本的な成長戦略の立案を独立検討した結果、これを機に特定の株主から36万9,134株を取得することを決定し、7月23日に総額7億23百万円で取得した。

 以上のようなことが主な話題といえるが、そのような状況の中で、第2四半期業績は、売上高59億77百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益2億22百万円(同23.5%増)、経常利益1億94百万円(同52.3%増)、純利益93百万円(同76.7%増)と増収大幅増益を確保した。

 主力である飲食事業は、来客数46万1,304人(同3.3%増)、客単価1万1,628円(同1.8%増)と客数、客単価が増加したことにより、売上高53億63百万円(同5.2%増)と増収となった。

 店舗別でみると、和食の鳥山、竹亭、鷺沼、東京芝の4店舗は増収であったが、大和田だけが前年同期比1.1%の減収であった。洋食は、6店舗全店が増収であった。なお、洋菓子のアトリエうかいの売上高は、洋食部門に加算されている。

 一方、文化事業は、来客数21万3,168人(同6.2%減)、客単価2,876円(同1.2%減)と客数、単価共に減少したことで、売上高6億13百万円(同7.3%減)と減収であった。富士山が世界文化遺産と認定され、富士山への注目が集まった影響もあり、箱根への訪問客が一時的に減少したものと思われる。

 利益については、増収要因に加え、借入金の減少、3月実施のリファイナンスによる支払利息の減少により、大幅増益となった。

 以上のように、増収大幅増益を確保し、計画を上回るペースで推移したことから、11月8日に通期業績予想の上方修正となった。

 修正した14年3月期通期業績予想は、売上高119億64百万円(前期比1.3%増)、営業利益4億69百万円(同7.0%増)、経常利益3億63百万円(同6.1%増)、純利益3億17百万円(同14.9%増)と増収増益を見込む。

■新たな成長ステージへの戦略の柱は既存店強化

 上方修正を発表するほど順調に推移している今期は、中期経営計画の基本方針の中で、収益性・成長性にこだわり、具体的な戦略と共に、実現に向けて計画概要を策定する年として位置付けている。来期以降は、その計画を実行に移すことで、新たな成長ステージに進む。

 その様な状況の中で、代表取締役社長大工原正伸氏は今後の取組について説明した。

 新たな成長ステージへの戦略の一つとして、既存店の強化を挙げている。そのためには、人に優しい店づくりを行うことで、来店者に気持ち良く味わっていただく店の環境づくりが大切である。例えば少子高齢化時代を迎えていることから、店舗の一部をバリアフリー化することを推進している。更に、うかいをもっと知ってもらうために、催事、フェアの魅力を深める取り組みを進めている。一方でそのようなことができる人材の育成、教育に注力する。

 また、新規商品の開発にも注力する。例えば前期より東急田園都市線沿線のたまプラーザ駅近くに製菓工房を立ち上げて、洋食店舗にて製菓の販売を開始しているが、更に今期はその工房の一部に洋菓子店「アトリエうかい」をオープンし、製菓のブランド力を上げ、製菓事業化を目指す。また和食店舗のお土産品も強化する。

■海外からも多くの客を招くために、「商圏10,000キロ」を実現するための仕組みづくりを実行

 更に、国内市場だけでなく、海外からも多くの客を招くために、「商圏10,000キロ」を実現するための仕組みづくりを実行している。例えば東アジア圏で、うかいフェアを開催し、海外でうかいの認知度を高める活動を行っている。最近では欧米にも注力している。既に発表しているように、海外の企業と業務提携し、3年後には台湾高雄市に出店する。また、新業態の店舗として来年4月に東京都中央区銀座に「銀座kappou ukai(仮称)」を出店する。

 「既存店を強化し、そして魅力ある店を作り、そこに新しい商品を加え、そしてそのことを多くの人たちに知っていただき、来店してもらうことです。非常にシンプルなことです。このことをどれだけできるかが成長の鍵だと思っています。」(大工原正伸社長)と語った。

 中期計画の目標数値として、今後3年間の売上高は、14年3月期119億円、15年3月期121億80百万円、2016年3月期123億90百万円と順調に拡大する見通し。

 その間の有利子負債は、14年3月期55億67百万円、15年3月期47億34百万円、16年3月期39億3百万円を見込み、財務体質の健全化を実現する。

 尚、7月にオープンした「アトリエうかい」は当初予想の年間売上高6,000万円を上回り7,000万円から7,500万円の売上が見込める程人気化している。そのため、通販、店舗出店、OEM供給も視野に入っている。

 新業態「銀座kappou ukai」は初年度売上2億50百万円を見込み、投資額1億20百万円を2年8カ月で回収する計画。

 圏央道の高尾インターチェンジの開通による商圏拡大による旗艦店鳥山、竹亭の来客数の増加、東京オリンピックの開催決定による海外からの注目度アップ、更に「アトリエうかい」、新業態「銀座kappou ukai」のオープンと同社にとっては明るい話題が多いだけに、事業の拡大は順調に進むものと予想される。

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