2012年12月6日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

うかい:第2四半期の売上高は飲食事業の来客数の増加を主因に増収


■和食事業は継続的なイベントの集客が好調

 和食、洋食の高級レストランを運営するうかい<7621>(JQS)は11月30日、今期13年3月期第2四半期決算説明会を開催した。

 今期第2四半期業績について、取締役管理本部長潮一生氏より詳しい説明が行われた。

 第2四半期のトピックスとしては、5月に海外市場の拡大を組織的に実行していくために「海外戦略室」を立ち上げたこと、8月の「従業員持ち株ESOP信託」の導入、機動的な業務遂行の実現を目的として9月の営業本部内の組織再編成の実施等が紹介された。

 第2四半期の業績は、売上高57億59百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益1億80百万円(同42.0%減)、経常利益1億27百万円(同49.5%減)、純利益52百万円(同58.7%減)と増収大幅減益であった。

 売上高は、飲食事業の来客数の増加を主因に増収となったものの、郊外店舗の不調により計画をわずかであるが下回る結果となった。

 利益面に関しては、人件費・販売促進費・水道光熱費等の増加により、大幅な減益となった。

 事業部別の売上高は、飲食事業50億97百万円(同1.0%増)であった。内訳は、和食事業27億67百万円(同3.4%増)、洋食事業23億29百万円(同1.6%減)。文化事業の売上高は、6億61百万円(同4.0%増)であった。

 飲食事業については、和食事業は継続的なイベントの集客が好調であったことを主因に増収であったが、洋食事業は都心店については好調だったものの郊外店の法人需要および客単価の減少により減収となった。

 文化事業は、前期は震災の影響により箱根周辺施設全体の観光客が激減したが、今期はほぼ通年並みに集客が回復したことから増収となった。

■経費は前年同期比2億2百万円の増加

 飲食事業で、増収となった店舗を見ると、鳥山8.5%増、竹亭8.5%増、東京芝2.2%増、銀座5.5%増、表参道6.4%増となっている。減収となった店舗は、大和田1.2%減、鷺沼1.8%減、八王子8.6%減、横浜4.4%減、あざみ野4.8%減、GRILL9.3%減。

 都心店は海外からの利用客が戻り、来客数の増加を主因に増収となった。高尾エリアは継続的なイベントの期間延長と、高尾山インターチェンジができたことにより、都心からの交通の便が良くなったこともあり増収となっている。一方で住宅環境のエリアが苦戦した。

 第2四半期では増収となったものの大幅減益となっているが、その要因を挙げると人件費、販売広告費、水道光熱費、消耗品、修繕費の増加が挙げられる。今期第2四半期の人件費は21億30百万円(同1億22百万円増)、経費は19億28百万円(同80百万円増)であり、合わせると2億2百万円増加したことになる。この増加がなかったら、前期並みの利益が確保できたといえる。

■有利子負債は62億64百万円(同96百万円減)と着実に削減

 貸借対照表の資産合計は、119億87百万円(前期末比1億46百万円減)となっている。内訳は、流動資産16億93百万円(同89百万円増)、固定資産102億93百万円(同2億35百万円減)。

 負債合計は、80億96百万円(同1億50百万円減)。内訳は、流動負債33億77百万円(同1億63百万円減)、固定負債47億19百万円(同12百万円増)。有利子負債は62億64百万円(同96百万円減)と着実に削減している。

 純資産合計は、38億91百万円(同4百万円増)となっている。その結果、自己資本比率は32.2%と0.5ポイント改善している。

 通期業績予想は、売上高116億10百万円(前期比0.1%減)、営業利益3億73百万円(同34.8%減)、経常利益2億78百万円(同41.0%減)、純利益1億24百万円(同60.4%減)を見込んでいる。

 事業別の売上高予想は、和食事業54億80百万円(同1.4%増)、洋食事業48億65百万円(同1.9%減)を見込み、飲食事業全体では103億45百万円(同0.2%減)を見込んでいる。

 文化事業の売上高は、12億65百万円(同0.7%増)を見込む。

■客層は、法人から明らかに個人へシフト

 第2四半期業績の概要、通期業績予想の説明の後、代表取締役社長大工原正伸氏による営業施策と今後の展望についての説明が行われた。

 「震災の時に人件費をずいぶん圧縮した経緯もあり、今後を作っていくために、人に厚くする考えのもと、人件費を震災前に戻しました。また、新しい部署を作ったことや新入社員の増加により人員も少し増えました。その結果、第2四半期の利益は計画を少し下振れました。下期につきましては、数字上というより、むしろ現状を踏まえてしっかりと対応していきます。全体的な景気の不透明感があり、お客様の流れが変わってきているように感じられます。我々のお店に来られる目的や、商圏、年齢、国籍などいろんなところで少し動きがあります。たとえば、郊外店の八王子うかい亭は、割と法人需要の多かったところであります。高価格帯の店ですが、昨年上期は、法人が約33%、個人が67%という来店客の構成でした。今期上期は法人23%、個人が77%と10%も法人が下がってきています。明らかに、個人にシフトしている。昨年までは、最初は法人で来られて、次に家族を連れてこられて、それからリピートされるという流れでありました。今年になって、個人の比率が高いということは、家族でありますので、小さなお子さんから高齢な方まで幅広い年齢層になってきているということです。そのような流れをくみながら対応することを認識しておく必要があります。法人から個人にシフトしていることで、明らかに客単価が下がっています」と郊外店の状況から説明が行われた。

■うかい独自の製菓を作り、来年からは洋食全店で販売する方針

 対処するべき課題を解決するための7つの取組として、既存店の強化、ブライダルの構築、ブランドの構築、商圏の拡大、人材育成と登用、経営体制の強化、安全・安心の取組を挙げている。

 既存店の強化の方法として紹介されたのが「たまプラーザ」に新設されたアトリエである。アトリエで、うかい独自の製菓を作り、お土産・ギフトとしての商品力を強化する。既に、11月23日より、あざみ野うかい亭、横浜うかい亭、八王子うかい亭の来店客だけを対象にして、販売しているがあっという間に売り切れるほど好評。来年からは洋食全店で販売する方針。1年後を目処に、Webでの販売も開始する予定。初年度は60百万円の売上を目標としている。

■海外からのお客さんに来ていただく流れを作る

 海外戦略室を設置し、外国人客の拡大を取組む活動については、「11月に東京事務所を開設し、市場調査、リレーション、メディア開拓、業務提携、フェア、交易会、グローバル人材の登用を既に始めています。東アジアの市場調査を行い、先方とのリレーションの開始やメディアの開拓も進んでいます。まずは、うかいのレストランを知っていただきたい。富裕層の方を限定的に絞って紹介しています。業務提携についてもいろいろなフェアを中国、台湾で行いました。また、グローバルな人材を育てるために、フランス、中国、アジアに研修ということで社員を派遣し、若いスタッフを育てています。また、語学が大切ですので、現地の方を採用して、現地で、特に東京芝とうふ屋うかい、銀座うかい亭、表参道うかい亭、うかい鳥山、箱根ガラスの森美術館等を紹介していただいて、海外からのお客さんに来ていただく流れを作るようにします」と海外戦略室の取組を紹介した。

 また、法人から個人にお客の流れが変化していることから、高齢者に対応してエレベータの設置、階段の横にスロープを設け、人にやさしい店づくりを目指す。既存店の強化策としては、イベントの継続性、店舗の個性に併せた季節感の演出に注力することを挙げている。

 このような取り組みを継続することで、2014年3月期の売上高119億円、営業利益6億60百万円とV字回復を目指している。

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