2012年12月11日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

国際計測器:第2四半期連結業績は増収ながら減益


■予定していた案件が第3四半期以降にずれ込む


 バランシングマシンの国際計測器<7722>(JQS)は3日、今期13年3月期第2四半期決算説明会を開催した。

 9日に、第2四半期に売上を予定していた案件が第3四半期以降にずれ込んだことと、為替相場が期初の想定よりも円高ドル安に推移したこと等を理由として、第2四半期、通期業績予想、配当予想の下方修正を発表している。

 第2四半期連結業績は、売上高45億32百万円(前年同期比5.1%増)、営業利益1億96百万円(同6.5%減)、経常利益1億1百万円(同30.8%減)、純利益55百万円(同20.0%減)と増収ながら減益となった。

 地域別の売上高は、国際計測器(日本)36億86百万円(同16.5%増)、東伸工業(日本)1億67百万円(同57.2%減)、KOKUSAIINC.(米国)4億35百万円(同0.7%増)、KOREA KOKUSAI CO.,LTD(韓国)6億5百万円(同1.3%増)、高技国際計測器(上海)有限公司(中国)2億41百万円(同13.4%増)と東伸工業を除き全てが増収である。

 経常利益については、国際計測器2億43百万円(前年同期△9百万円)、東伸工業△77百万円(同7百万円)、KOKUSAIINC.68百万円(前年同期比41.4%減)、KOREA KOKUSAI CO.,LTD.1億34百万円(同10.7%減)、高技国際計測器(上海)有限公司12百万円(同53.9%減)と国際計測器を除いて全てが減益となっている。KOKUSAIINC.の大幅減益は円高の影響による。高技国際計測器(上海)有限公司の大幅減益は、結果的に原価率の高い商品を販売したことによる。

■電気サーボモータ式振動試験機、材料試験機は大幅に受注拡大

 連結売上高の製品別構成は、バランシングマシン72.6%(32億91百万円)、電気サーボモータ式振動試験機8.3%(3億76百万円)、材料試験機3.7%(1億67百万円)、シャフト歪自動矯正機9.7%(4億39百万円)、その他5.7%(2億57百万円)となっている。

 9月末の連結受注残高は、69億11百万円(前期比17.4%増)。その内訳は、バランシングマシン40億27百万円(同1.7%減)、電気サーボモータ式振動試験機17億34百万円(同79.9%増)、材料試験機(東伸工業)3億16百万円(同464.3%増)、シャフト歪自動矯正機7億45百万円(同2.5%増)、その他87百万円(同117.5%増)と電気サーボモータ式振動試験機、材料試験機の大幅な受注拡大が目立っている。

 第2四半期の業績は、増収ながら大幅な減益となったが、下半期については、利益率の回復が見込まれている。営業利益率は、第2四半期の4.3%から11.4%へ、経常利益率は2.2%から10.5%へ、純利益率は1.2%から5.9%へと大幅に改善する見込み。

 今期13年3月期連結業績予想は、売上高105億円(前期比3.4%減)、営業利益12億円(同4.7%増)、経常利益11億円(同6.2%減)、純利益6億20百万円(同11.4%増)と上半期の大幅減益をカバーし、最終利益は2ケタの増益を見込む。

■第4世代のサーボモータの開発を開始し、来年1月には完成する予定

 第2四半期決算概要、通期連結業績予想の説明の後、代表取締役社長松本繁氏による新製品研究開発の現状について、電気サーボモータ式各種振動試験機の開発経緯、エミック社との業務提携による動電型振動試験機事業への参入の順で行われた。

 「7年前ですが、特にカーメーカーさんから現在油圧の試験機の欠点を聞いたうえで、サーボモータの開発に取組みました。当時、サーボモータは、ロボット用、NCマシン用に使われていたものが代表的なものでした。当時の応答周波数は5ヘルツ、加速度は1Gくらいしかありませんでした。カーメーカーさんから言われたのは、最低でも50ヘルツの5Gが欲しいとのことでした。そこで、まずモータの開発からしなければならないということでサーボモ−タのメーカーさんと開発を始めました。第1世代のモータは、周波数は非常に速いところまで持ってこられたんですが、トルク、加速度が今一つということで、第2世代の製品を開発しました。第2世代でうまくいきまして、3年ほど前からかなりの台数を販売しています。ところが、カーメーカーさんの方からもう一つ加速度を上げてくれとの依頼がありました。そのため第3世代を開発した結果、飛躍的に性能がアップしたことで、動電型に近くなってきました。そこで、やれやれ一安心という状態でいたのですが、やはり、国内の大手自動車メーカーからある製品の試験をするには、どうしてもこの第3世代では性能不足ということでしたので、当社主導で第4世代のサーボモータの開発を開始し、来年1月には完成する予定です。来期は、このモータを使った新製品を大型の開発製品として販売していきます。この結果、サーボモータは、第1世代、第2世代、第3世代、第4世代と揃います」とこれまでの開発の経緯を説明した。

■鉄道関連のエアコンでは世界NO.1のメーカーに、大型振動台を納品

 引き続き、「このモータ製品を制御するコントローラー、圧縮、引っ張り、ねじれ、振動試験とありますが、当初デジタルで制御するものは比較的早く開発は終わりましたけれども、実は、車両振動、地震波、航空機は、ランダム実波振動制御の試験機が必要です。これが無くして振動試験機とはいえません。それからPSDというランダムの制御も行わなければなりません。これらのコントローラーを2年がかりで開発しました」。

 この後、サーボモータとコントローラーを組み合わせた加振試験機の紹介が行われた。

 小型の3軸同時振動試験装置、車載型3軸同時振動試験装置、中型のEV用リチウムバッテリー及びカーエレクトロニクス用品向け3軸同時振動試験装置、包装貨物3軸同時振動試験装置、大型の3軸同時振動試験装置と対象物の大きさによって、それぞれの加振装置がある。

 新幹線用のエアコンディショナーを製造する鉄道関連のエアコンでは世界NO.1のシェアを持つメーカーに、大型振動台3m×6mを納品した結果、好評であったことから、更に一回り大きい4m×6mの大型振動台2機を受注している。

 また、中国の四川の地震局に地震シミュレーション用に3軸同時加振試験装置を納入し、好評であったことから、上海の交通大学から同じものを受注している。日本国内でも、地震加振装置の受注が数台見込まれている。

 更に、高速回転ねじれ試験機は、油圧試験機メーカーが独占していた市場であるが、1年ほど前に自動車メーカーより開発依頼を受けて、開発している。これまでの油圧式試験機の価格は、1台当たり1億数千万円であったが、同社では7000万円から8000万円で販売することから12月10日に1台納入することが決定している。この他に、もう1台納入する。韓国、中国でも市場調査したところ、需要が見込まれるため、今後の売上拡大を期待している。

■自動車関連、飛行機、船舶、鉄道と全ての市場をサーボモータと動電型で押さえる

 エミック社との業務提携については、「自動車関連で約50%の比率でサーボモータに置き換えました。そこで、我々が動電型の開発を行っていたところにエミックさんの方から3年前に、自動車搭載部品の試験機とか最終的には新幹線車両搭載部品を加振する大型の試験は、動電型では厳しい。それで、国際さんでOEM供給してくださいということで、10台程供給しました。そのため、我々は動電型の開発を見合わせ、3年間供給をしながら話し合いをした結果、この12月に総括的に業務提携することになりました。まずは、エミックさんの動電型にエミック・国際、我々のサーボに試験機に国際・エミックとこのブランドを共有することによって、自動車関連だろうと、飛行機であろうと、船舶であろうと、鉄道であろうと全ての市場をこのサーボモータと動電型で押さえることが出来ます」と提携に至った経緯を紹介した。

 同社では、来期より動電型振動試験装置の売上を見込んでいる。14年2億円、15年5億円、16年8億円、17年10億円を計画している。その結果、連結売上高は、14年115億円、15年120億円、16年130億円、17年140億円を見込んでいる。

 今期の業績予想は、当初予想を下回るが、サーボモータの加振装置、動電型振動装置の用途は広いことから、同社の将来展望は明るいといえる。

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