IR TOPIX
■新たなIR活動は企業価値の向上へ
アメリカでは「企業は株主の物」という考えが定着
「コーポレートガバナンス」の考えが、日本に入って15年くらいになる。コーポレートガバナンスの意味である企業統治、柔らかく言うと、企業は誰のものかということに対し、当時は「何をばかな」という受け取り方がほとんどだった。企業は「運命共同体」として、経営に当たる人と従業員のものということが信じて疑われなかった時代である。長い間、終身雇用制で、従業員は企業に忠誠を尽くすものという考えの日本にとっては、まさに黒舟来襲の驚きだった。
社長をはじめ経営者は、年功序列をベースとして社員の中から選ばれるものであり、今のように、M&A(企業の合併・提携)でいきなり社外から見知らぬ経営者によって経営が代わることはなかった。大株主の銀行対応さえしておけば経営陣は安泰だった。配当についても、大株主である銀行と企業同士の持ち合いから「安定配当」が基本だった。
しかし、いうまでもなくアメリカでは、企業は資本を出資している株主のものという考えが定着している。資本という主役のもとでは、人、物、技術、土地、ノレン、余剰現金などすべてのものが資本に対し従属の関係にある。それが、資本主義ということであり従業員といえども、企業価値を高めるためのツールの一つということだ。
企業は株主価値と従業員価値の向上を図ることが使命
一方で、こうした考えは行きすぎとの考えも台頭している。実際、日本の古きよき時代の終身雇用制を見直す企業もある。しかし、大きなうねりとしては、企業城下町的な鎖国時代に戻ることはない。資本、人材、物、サービスなどすべてのものがグローバル化しているためだ。しかも、働く人も、自分の価値向上を求めて次々と働く場所を変えて行く時代となっている。
こうしてみると、企業は株主から提供された資金、従業員から提供された労働力を使うかわりに、株主の価値向上、働く人の価値向上を図ることが最大の使命である。
その企業価値には、マーケットが株価や時価総額で評価する「市場価値」、経営者が自覚している「経営者価値」、さらに経営者が気づいていない第三者の評価する「M&A価値」がある。企業はIR(企業情報広報)によって、適正な企業価値の評価を得ることが大切である。また、個人株主を増やすことは自社商品の販売増加にも結びつくPR効果、さらにリクルート効果もある。
今、日本ではIR中心から、「IR&PR&リクルート」時代を迎えている。日本インタビュ新聞社が紹介した企業はこうしたIRなどに熱心な企業である。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR