Q.相場は安値圏と言われます。安値圏の投資で心がけるべきことと、銘柄選びのヒントを教えて欲しい。 |
昔から「天気予報」と「相場」は当らないものと言われてきました。現在では、天気予報については格段に的中度が高まり、「いつ・どこで・どのくらいの雨が降るか」が予報できます。衛星を利用した予報の効果です。しかし、一方の株式相場は、相変わらず的中度合いは高くありません。もちろん、パソコンの発達で昔に比べると予測そのものは優秀となっています。それでも当らないのは、人間に「欲」と「感情」があるからです。ここのところは、昔とまったく変わっていません。むしろ、今の方が強くなっているかもしれません。仮に、いくら正しくコンピューターが予測しても、人の欲望が『もっともっと』と自分を堰きたて、あるいは『人より少しでも有利に』との思いが強いからです。もちろん、これこそが人間らしさとも言えるのですが。
そこで、相場については『1円にこだわらない気持ち』が大切です。特に、天井圏や底値圏ほど、その気持ちが大切となってきます。『天井売らず、底買わず』、『頭と尻尾はくれてやる』気持ちです。決して、天気予報のようにピンポイントで当てようとしないことです。「白壁の黒いシミも少し離れると白い壁」のような、ゆったりとした心構えが大切です。
また、底値圏での銘柄選びについては、実は、非常に簡単です。「著名な銘柄」に投資することで十分です。03年の相場底値圏から07年にかけて日経平均は2.4倍程度の値上がりでしたが、新日本製鐵、トヨタ自動車、ソニー、パナソニック、日本郵船、コマツなどは3〜6倍の上昇となりました。いずれも著名な銘柄ばかりです。そうした著名銘柄の中で、BRICs関連といったソーシャルニーズ(社会的なニーズ)に沿った銘柄を選んでいれば、たとえば新日鉄が6倍となったように、同じ一流銘柄の中でも大きな果実を手にすることができます。
こうして見ると、安値圏では、大らかな気持ちが大切です。ただし、今が安値圏かどうかの吟味・検証については、改めて取り上げますが、底値圏と判断したら「ゆったりと構えて、良い銘柄に」投資することが肝要です。