Q.「相場では、「動きに素直につくことが大切」と言われたり、「人の反対をしなさい」と言われます。どちらが正しいのですか、迷ってしまいます。」 |
そうですね、なかなか悩ましいことです。ある人は、「相場に素直につくべし」と言い、また、ある人は「人の行く裏に道あり花の山」ともいいます。数学なら、どのような時でも1+1は2と、計算できますが、言葉の世界は数式通りには行かないものです。ここが相場らしいところでしょう。
もしも皆さんが、全員、計算通りに成果を得るなら、損をする人はいなくなり、全員が大金持ちとなっています。残念ながら勝負の世界は勝つ人、負ける人が入り混じっています。しかも、昨日まで勝った人も、今日は負け組に入ることもありうる厳しい世界です。相場に限らず、ビジネスの世界、個人の日常生活においても計算通りにいかないものではないでしょうか。
ただ、「素直になっていい時」と、「素直ではいけない時」が相場にはあります。前者を「順張り」と言い、後者を「逆張り」といいます。順張りの原則では、長期下落を続けてきた相場が、たとえば、「26週線を抜いて買い転換」した時、「新値3本足チャート」(質問をいただいていますので別の機会にご説明します)が1本目の陽線を出した時などは、素直に出直りにつくのが良いと思います。こういった時は、景気、企業業績はまだ悪く、数学的にはきっちりとは説明できないものです。ここで理屈に縛られていては出直りのおいしいところを逃してしまうことになります。実体は悪くても相場は景気、企業業績の回復を先取りしているのです。季節感で言えば、長い厳しい冬が終わり、花が咲き始めることと似ています。素直に春の訪れを喜ぶ気持ちが大切です。
一方、上昇相場が長く続いた時などは注意が必要です。たとえば、夏の終わりに、夏に乗り遅れた蝉(せみ)がむなしく鳴いているようなものです。蝉の鳴き声に惑わされず、秋の訪れに備えることが大切です。こういう時は、人と反対をするくらいの気持ちで「逆張り」が大切です。人は季節とリンクすれば納得できることも多いと思います。都会での暮らしが多いと、季節感が薄らぎ、いつも春が来ているように錯覚するものです。景気、企業業績にも間違いなく季節感があるのです。季節の変わり目を敏感に感じ取る練習をすれば、「相場の変わり目」にも敏感となれるものです。