Q.株の人気性について、分かりやすい例があったら教えてください。 |
そうですね。「人気」は頭では分かっていても、投資という行動で判断する時は、なかなか難しいものがあります。人気とは、掴みどころがなく、いくらが妥当、という数値では捉えられないところがあります。
繊維株のグンゼ<3002>(東1)と、ダイワボウホールディングス<3107>(東1)で、人気の違いを見てみましょう。株価は、09年9月9日現在、グンゼ414円、ダイワボウホールディングス419円と、ほぼ近い値段です。09年3月期のデータでは、グンゼの配当は年10円、1株利益7.7円、1株当り純資産602円です。
一方のダイワボウホールディングスは09年3月期で配当年3円、1株利益2.3円、1株当り純資産187円です。
両者の投資データで見れば明らかに、グンゼが優秀です。特に、「企業の地力」ということで、よく比較に用いられるPBRでは、グンゼの0.6倍台に対しダイワボウホールディングスは2.2倍です。
この開きにこそ「人気」の要素が含まれていると見ることができます。仮に、ダイワボウホールディングスがグンゼと同じPBRでよい、ということなら、ダイワボウホールディングスの株価は、「187円×0.6倍=112円」の株価となります。もう少し譲って、PBRは通常1倍が普通という前提に立てばグンゼ602円、ダイワボウホールディングス187円です。グンゼの割安、ダイワボウホールディングスの割高が目につきます。
言うまでもなく、ダイワボウホールディングスの株価には、人気要素として作用しているのが、「新型インフルエンザの流行」です。手がけているマスクが、新型インフルエンザ予防で売れるという材料です。
企業にとって、売上げが増えれば、先行き配当を増やし、1株利益、そして1株当り純資産を向上させることができるのです。
こうして見ると、「人気材料」とは、社会的なニーズを背景に「企業の売上げが増えること」と、みることができます。いくら優秀な製品でも売れなくては宝の持ち腐れです。銘柄の持っている人気を調べるには、その企業の製品、商品が「社会的なニーズに沿っているかどうか」、そして、「そのニーズの大きさはどのくらいか」を見極めることです。