Q.「新年にテーマ銘柄を買う」のは成功率が高いと聞きました。本当でしょうか。具体的な例があったらお願いします。また、特に、気をつけることがあれば教えてください。 |
外国のマーケットで、新年テーマ買いがあるのかどうかは分かりません。しかし、日本では、「テーマ買い」は結構、いい線を行くと思います。やはり、時代は変わっても、日本人には、新年を、新たな気持ちや心構えで迎える思いが強いと思います。
具体例としては、2009年なら、「電池」大手のジーエス・ユアサ コーポレーション<6674>(東証1部)でしょう。アメリカのオバマ大統領が、クリーンなエネルギー経済によって500万人の新たな雇用を創出するという、「グリーン・ニューディール政策」を打ち出したことがあります。クリーンエネルギーのテーマから同社株にスポットライトが当りました。自動車用鉛電池では大手という優位性から、電気自動車用のリチウムイオン電池等に期待が高まりました。09年1月の最初の値段、つまり始値は550円でしたが、それが、6月18日には1228円へ、わずか半年で2.2倍の急騰です。最高値で売ることは難しいとは思います。
しかし、買うことは難しくないと思います。「今年は環境関連を買ってみよう」と決心して、新年の寄り付き買いをすればよいのですから。ただ、こうしたテーマ銘柄について、いくつか注意点を挙げれば、
(1)テーマ性はあるが、業績の悪いケースがあるので注意が必要
(2)値上り率2倍では利食いを心がける
(3)年前半を勝負に置く
などです。ユアサ株の場合、2010年3月期は営業利益が51%の減益見通しで、配当は年5円(前期年6円)へ減配、予想1株利益もわずか6円ほどです。こうした業績が悪いのに、テーマに乗る場合は、「空売り」が入りやすくなり、株価が急騰することにつながります。
このため、業績がどうか、まずチェックすることです。業績が良くて、テーマ性もある場合は、意外な上昇は無理ですが、PERが類似銘柄より高くなる程度が目安となると思います。ユアサのように業績が悪く、テーマ性のあるケースでは、空売りの動向を見ておくことです。大体、上げ始めて2倍以上となれば売り方の買い戻しは一巡とみなくてはいけません。もちろん、銘柄によっては3倍程度の上昇もあります。
しかし、堅く行くためには、少なくとも手持ち株の半分は、2倍の値上り水準では利食うべきです。また、テーマ株は、多くの場合、その年の後半まで人気が持続したケースはほとんどみられません。これは、証券会社の営業体が前半の間に稼いでおきたいという気持ちが働くことも作用します。大体、6月頃を境として、買われる銘柄は、ガラリと変わることが多いため、テーマ株は、「前半勝負」と決めておくのがよいでしょう。