Q.「注文した銘柄の売買が成立するときの優先順位はあるの。どういう局面で、どういうやり方がいいのか教えて」 |
2つの大原則があります。1つは「価格優先」、もうひとつは「時間優先」です。時間優先は、私たちの日常生活に置き換えても分かりますね。先に並んだ人から順番、割り込み禁止と同じです。株の場合でも、先に出した注文が優先します。
仮に、200円でAさんとBさんから1000株ずつ合計2000株の売り注文が出ているとします。一方、買い注文は1000株だけだったとしますと、1000株分については売買が成立しますが、残り1000株分は売れないままです。
この場合は、Aさんの発注時間がBさんより早かったとすれば、Aさんの1000株が「時間優先」で執行され、Bさんの1000株は売れ残りとなります。Bさんでみれば株価は200円と表示されるため、当然、売れたものと思っていても売れなかったことになります。新日鉄のような大型銘柄では、売り買いの注文株数が多いため、多少の時間のズレはあっても売買が成立します。しかし、新興系銘柄のように発行株数の小さい銘柄では、こうしたことは起こりやすいので注意が必要です。
「どのように注意すればいいのだ」、ということですが、ネット取引などでは板(売り買い注文)状況をチェックし、電話あるいはカウンターで営業の方を通す時は、同じように板状況を尋ねることをお勧めします。板状況を見て、あまり1円、2円にこだわらず注文を変更することです。
もうひとつの「価格優先」は、極端な言い方をすれば、「割り込みを認める」ようなものです。たとえば、200円で買いたいという人に対し、210円で買いたいという人が出れば、210円の人が優先します。たとえ、時間的に後であってでもです。価格優先の中には今の例のように、「200円で買いたい」、「210円で買いたい」というように値段を決めた指値注文があります。さらに、値段を決めないで、いくらでもいい、という「成り行き注文」もあります。いくらでもよいのですから最優先となります。もちろん、成り行きには、思わぬ値段での売買となる心配はつきまといます。
結局は、こうして見ますと、投資家が注文を出す場合は、値段を決めた「指値」か、値段を決めない「成り行き」かということになります。ご本人の資金事情によって、資金がどうしても必要な時は「成り行き」とならざるを得ません。また、相場が急変したと感じた時にも、ぐずぐずしておれません。成り行きが有効です。
一方、「指値」注文のケースでは、上げ相場でも下げ相場でも想定内の動きをするだろうと予想されるときに有効です。また、大きく株価が変動した時に、たとえば過去の値段に近いところで指値をしておくと思わぬ買い物ができることがあります。
相場格言に、『売りは早かれ、買いは遅かれ』とあります。株価が高値圏にあるときは躊躇することが大きい損につながります。高値圏のときは「成り行き売り」がよいでしょう。相場が熱狂していますから、買い物もかなり入っていますから、成り行きでも意外な値段のつく心配は小さいといえます。
一方、底値圏で買う時は、成り行き買いは避けて、決めた値段まで下がってくるのを待つ「指値買い」が有効です。