Q.「輸出関連銘柄の特性と投資する際の注意点は?」 |
■多くの企業が海外に活路を求め、内需・外需型銘柄の色分けは難しい
企業は「売上」を通して社会と繋がっています。売上を大きく分類すれば、国内向けの「内需」と、国外向けの「外需」とになります。外需の売上ウエイトの大きい企業(銘柄)のことを「輸出関連銘柄」と呼びます。
最近は、日本国内の総需要が、少子高齢化で減少傾向にあるため、各企業とも海外へ売上の活路を求めています。全体の売上の何割以上を輸出関連という、といった明確な定義はありません。目安としては、以前なら50%程度以上を輸出関連と言ったものですが、最近は20%程度以上なら輸出関連と呼ぶようです。
輸出関連の特性としては、「輸出立国」である日本を支える企業であり、世界に通用する技術を誇り、世界の投資家から高い評価を得ていることです。ソニー <6758>、トヨタ自動車 <7203>、パナソニック <6752>などのように。特に、昭和30年代からのように早くから日本の産業界をリードしてきた企業ほど評価は高いといえます。最近は、説明しましたように、従来、内需型であった企業までが海外へ出て行っています。このため、従来のように、輸出銘柄は「世界的優良銘柄」というレッテルを貼ることはできなくなっています。
従来は、投資に際しては、分かりやすさがありました。相場格言にもあるように、『電機が消えればお化けが出る』といわたように。これは、輸出関連の主役である電機株が天井を打てば、内需株の本命の化学=薬品株が動く、と教えていました。つまり、輸出株と内需株のメリハリがはっきりしていましたが、現在では、明確さがなくなってきています。
それでも、注意する点は、
(1)世界景気の動向
(2)為替の動向
(3)軍事、政治、労働問題
などの動向、などがポイントとなります。世界景気では、今度のサブプライムローン問題に端を発した世界同時不況は、厳しい目に遭いました。中国ビジネスでは、代金の回収が難しいと言われます。また、宗教的な問題で工場の操業が止まった、と言う話もあります。売上が増えていても、思わぬ損失が発生することがあります。商習慣や文化の違うことが日本と違うところです。輸出先の地域、国の政治、軍事などのニュースには敏感でなくてはいけません。そうしたことが為替に反映され、円高となれば、輸出企業を直撃することになります。また、海外向け売上は多くなくても、海外生産比率の高い企業においても、今度の中国での食品問題のように大きいリスクがあることを知っておかなくてはいけません。
グローバル化時代。これまでのように、国内だけ見ていればよかった時代から大きく変わってきています。すべての銘柄が海外となんらかで繋がっている、そのくらいの気持ちで投資に望むのがよいと思います。