Q.相場は『底値100日天井3日』と聞かされていました。最近は、必ずしも、そのように思えないのです。とくに、高値圏でのモミ合いが多いように思われるのですが、なぜですか。 |
たしかに、最近は、高値圏でモミ合う銘柄が目立つようになっています。この背景は、「相場形成」が以前と変わってきたことがあると思われます。
どこが変わったか。ひとことで言うなら、個人投資家が一斉に買いつくことが少なくなったことがあると思われます。さらに、もう一歩進んで、なぜ、個人が一斉に買いつくことをしなくなったか。理由は2つ考えられます。(1)証券行政の成果、(2)個人自身が学んだ、ことです。
とくに、平成19年9月30日施行の「金融商品取引法」が大きかったと思います。機関投資家等のプロの投資家に比べ投資経験、情報装備力、知識などで劣る個人投資家に対し業者の勧誘が厳しく規制されるようになりました。個人投資家に自己責任を求めると同時に、金融取引業者にリスク等の説明責任が強く求められ、訪問営業の規制も厳しくなりました。
かつては、証券会社の大量推奨販売によって、個人投資家が相場の最終的な仕上げに使われていたことがなかったとは言えませんでした。一斉に個人が熱狂的に買って天井ということが多かったことは事実です。結果、素人の個人が買ったら、その後を買う人は誰もいない。ということで相場は、「天井3日」が起こりやすくなっていたのです。
もちろん、個人投資家自身もそうとうな研究と勉強で高値圏での買いが少なくなりました。とくに、パソコン活用によるチャート。たとえば、移動平均乖離などによって天井掴みのケースがずいぶん少なくなっています。しかも、最近は個人がネットでの売買が増えて、機敏な行動をとることも天井掴みのリスクを軽くしているようです。
こうした結果、一斉に、わっと買いつく人が少なくなったことから天井形成に時間がかかるようになっていると思われます。従来は、需給関係、とくに、出来高の急増が株価の天井形成に大きく作用していました。これからは、需給関係だけでなく、「景気―企業業績―株価」、という基本的なことが、ますます重要になってくると思います。