Q.株の初心者です。前々から、不思議に思っていることがあります。なぜ、小さい出来事にでも、いちいち株価が反応して動かなくてはいけないのでしょうか。会社は中長期の計画で経営されていると思うのですが。マーケットが商いにするための過反応ではありませんか。 |
ごもっともです。非常によいご質問と思います。株投資を始めると必ず、頭をかすめる疑問です。「なぜ、このくらいの事に、いちいち反応しなくてはいけないんだ」と。
また、ご指摘の通り、会社はちゃんとした戦略に基づいて経営されています。しかし、会社も社会の営みの中で生きている一員です。いつ、なんどき何が起きるかわかりません。いつも、トヨタ自動車 <7203> の例で恐縮ですが、あの天下のトヨタでさえ、08年3月期の営業利益2兆2703億円が09年3月期には4610億円の大きな赤字へ落ち込みました。8350円の株価が2585円まで大きく値下がりしました。
海外事業比率が7割を超える同社には、世界情勢の変化は見逃せないものです。特に、投資金額の大きい機関投資家等にとっては、「変化の兆し」(=小さい出来事)を見落とすことは、直ちに大きな損得に繋がります。株数が大きいだけに方向が決定的となってから動いていては間に合わないのです。1千株売却するのと、100万株売却するのとでは時間の差が非常に大きいのです。
また、仮に、あなたが、腹の据わった投資家だとします。「景気の良い時もあれば悪い時もある。いちいちビビって、どうする」という考え方もあるでしょう。それも分かります。しかし、それは、「倒産しないという前提」によるものです。トヨタ自動車だから倒産はしない、ということは分かりますが、今度の不況では多くの企業が経営破たんしました。株券は紙くずとなっています。
こうなったら太っ腹も通用しません。小さい出来事だと思っても、常に「最悪事態」を予想して動くのが株価です。小さいか、大きいかは時間が経ってみないとわかりません。経営破たんした会社の最初の時期は、単なるウワサにすぎない小さな出来事が多いものです。決して、小さい材料だと決めつけないことが大切です。