Q.株式投資を始めてまだ間もない個人です。投資家仲間の話を聞いていますと、「あの人は投資のプロだから」、ということを耳にすることがあります。私もプロと言われるようになりたいのです。投資経験はどのくらい積めばよいのでしょうか。また、プロはどういったところが長けているのでしょうか。 |
いきなり堅い話で恐縮です。金融商品取引法では、「プロ」は存在しません。法律では『特定投資家』と、それ以外の『一般投資家』に分かれています。この特定投資家をプロ、一般投資家をアマチュアとして呼ばれています。一般の個人投資家はアマチュア投資家として、業者からの過度な勧誘や再勧誘の禁止などによって保護されています。したがって、一般個人の方は、投資経験をいくら積んだからといってプロにはなれません。
ただ、かつて、昭和40年代頃までは、投資経験のある個人投資家の人をプロと呼んだことはあります。「仕手株」を好み、業績などのファンダメンタルズより人気材料や信用の空売りなどを重視して相場を組み立てるのが得意な人でした。当時は「玄人肌の投資家」がプロと呼ばれていたと思います。
現在は仕手株もすっかり姿を消して、分かりやすいマーケットとなっています。当時、玄人と呼ばれた投資家の方もいなくなりました。今は、個人投資家はすべてアマチュア扱いの時代です。
現在のプロ、つまり特定投資家は機関投資家なです。機関投資家は「情報収集力、IT装備に優れている」、「資金量が豊富である」、「一定期間に成績を挙げるノルマがある」、「小回りが利きにくい」、「運用者は給与を貰っているサラリーマンである」といった特性があります。
これに対し、一般個人は、情報にお金を多くかけることはできません。しかも、投資金額も小さいため、情報等は後回しにされやすい面があります。商売ですから業者(証券会社)は伝票1枚当りの注文金額の大きい機関投資家等にアナリスト資料などを優先するはずです。これは仕方のないことです。
しかし、個人投資家には、機関投資家の運用者のように「いつまでに、いくら儲けなくてはクビ」といったノルマはありません。会議を開いて投資を決める必要もありません。自分ひとりで、買う時も、売る時も自由です。機関投資家のように無配銘柄は買ってはいけないという縛りもありません。仮に、損をしても怒られることはありません。極端なことを言えば、儲かるまでは売らないこともできます。気に入ったタイプの経営者の会社に投資することもできます。もちろん、小口ですから売買も小回りが利きます。このため、一般個人投資家にはネット取引が向いているように思われます。
このように、一般個人投資家は、プロの機関投資家をうらやむのではなく、個人投資家としての強みを発揮した投資に徹するのがよいと思います。もちろん、勉強と研究は大切です。頑張ってください。