Q.「売買代金と時価総額については紹介されましたが、出来高と売買代金はどう違うのですか。どのように相場において使えばよいでしょうか?」 |
出来高は売買高とも呼びます。売り方と買い方が、その値段ならオーケーということで取り引きすることです。出来高と言っても構いませんが、売り方と買い方の両方の納得によって取り引きが成立することから売買高と呼ぶのが実際に近い印象です。
以前、売買代金と時価総額について紹介のときは、八百屋さんを例えにしました。今度も同じように八百屋さんでみます。1本100円の大根が5本売れたら、出来高は5本、その売買代金は500円です。その八百屋さんでは大根のほかにもトマトなどの野菜が売れるはずです。1個、150円のトマトが10個売れたら、売買代金は1500円です。もしも、その八百屋さんで、その日、大根5本、トマト10個しか売れなかったとしたら、売買高は15個、売買代金は2000円です。
もうお分かりのように、取引所では大根、トマトに当るのが個々の銘柄です。その取り引きの数量の合計が、東証での出来高(売買高)で、金額合計が売買代金です。今、東証1部の出来高は5月15日には28億8700万株。売買代金は1兆4820億円です。出来高は20億株以上の高水準ですが、売買代金は、もう長い期間、2兆円割れが続いています。どの程度が適正か、ということはありませんが、過去のデータ等に比べて多い少ないと判断します。昔は20億株も出来高があれば御の字でしたが、現在では注文を処理するためのコンピューター投資が膨らみ経費がかかっています。できるだけ多くの出来高が欲しいところです。
では、出来高さえ増えれば十分か、といえばそうではありません。むしろ、大切なのは売買代金です。値段の低い銘柄(低位株)が人気なら出来高は増えますが、売買代金は増えません。先ほどの八百屋さんのケースで、もしも、1日の売買代金が大根、トマトの合計2000円だけなら、その八百屋さんの商売は苦しくなります。つまり、売買代金とは外から、八百屋さんや株式マーケットに入ってくるお金の量です。
八百屋さんに1日2000円のお金しか入って来なかったら大変なのと同じように、株式市場にも長い間、2兆円以下のお金しか入って来ていないのです。このため、今のマーケットは限られた資金量でトヨタ自動車などの主力株を手がけ、そして、トヨタの動きが鈍くなったら、出遅れている銘柄を次々と買い漁ります。つまり、限られた資金しかないため物色のホコ先をぐるぐると変えて行くのです。すべての銘柄を一斉に買うだけ資金量はないのです。
このため、売買代金が増えないで、出来高が多い時は株価水準の低い低位株が買われていると判断できます。出来高も、売買代金も多くなってきたら、外国投資家等の新しい資金が入ってきたと判断してください。