Q.「売買代金と時価総額はどう違うのですか。指標としては、どのように参考としたらよいでしょうか?」 |
そうですね、よく混同されがちな指標です。身の回りのことでご説明しましょう。果物屋さんで、1個3000円のメロンが売られていたとします。
売り場に10個並べてあれば合計3万円です。これが、その果物屋さんでの、メロンの時価総額です。そして、その1個3000円のメロンが、その日4個売れたとしますと、売れた代金は1万2000円です。これが、その果物屋さんの、その日のメロンの売買代金です。
さらに、果物屋さんはメロンだけでなく、リンゴ、バナナ、イチゴなど、いろいろな果物を売り場に並べています。それらの、売り場に並べられている果物の販売価格(時価)の合計が果物屋さんでの「総時価総額」ということです。そして、1日の営業が終わり、売れた果物の値段を合計したものが、その日の「総売買代金」ということです。
もうお分かりですね。メロンとかイチゴ(パック)、リンゴに相当するのが株式市場では「銘柄」です。銘柄には「株数」と「株価」があります。新日本製鐵は発行株数(上場株数)が約68億株です。仮に、新日本製鐵<5401>の某日の株価が300円なら時価総額は2兆400億円です。某日の1日の出来高が仮に1000万株なら売買代金は30億円です。
こうして、1つ1つの銘柄ごとに、日々の終値をベースとして時価総額と売買代金を算出。それを、全銘柄合計したものが東証1部の時価総額、売買代金として発表されています。
こうしてみますと、売買代金は、果物屋さんの例では1日に売れた果物の総代金。つまり、果物屋さんに入ったお金です。株式の場合は株式マーケットに入ったお金の量ということです。つまり、マーケットにお金がどの程度入って来ているかということを見るのに役立ちます。4月13日まで東証1部の売買代金は65日間も売買代金が2兆円を割り込んだ状態が続いているとして「元気がない」ということになっているのです。
一方、時価総額は同じく果物屋さんの例では、売り場に並んでいる果物全部の値段ですね。全て売れるとよいのですが、まず不可能です。もしも、全ての果物が売れたとすれば時価総額=売買代金となるのですが。まず、時価総額と売買代金が一致することはありません。4月13日現在で東証1部の時価総額は約279兆円です。3月半ば頃に比べると大体30兆円程度増えています。株を保有している人にとっては財産が増えるわけです。これを「資産効果」と呼びます。
時価総額はGDP(国内総生産)と比べて、株式市場の注目度を計ることができます。バブル経済の1990年代後半には時価総額がGDPを5割程度上回り、経済力に比べて株式市場は行き過ぎでした。反対に2003年頃には時価総額がGDPの5掛程度まで比率が下がり、株式市場は売られ過ぎ状態でした。現在も6掛程度ですから株式市場は売られ過ぎと判断できます。